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大井川|上四郎作沢下部遡行・下四郎作沢遡行・柾小屋沢下降・オシヤリ沢遡行・ジャガ沢左俣下降

2025.07.05

記録

日程
2025年7月5日〜6日
メンバー
たもしま、たな
天候
晴れ
体4攀2悪1藪0水2
たもしま★5、たな★7
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独自の5大要素(体力・登攀・悪さ・藪漕ぎ・水量)を1〜6段階で数値化した沢の個性化パラメータです。従来のグレード(難易度)とは異なります。

・定義や意図は「源流徘徊」を参照。

・従来の一般的なグレードについては、たもしまが付けているものを採用しています。

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★10段階で評価。個人の好みや思い出要素も含みます。

  • 西俣 上四郎作沢:2級上(今回遡行)
    出合から2000m付近までは登れる滝が連続し、なかなか楽しめる。そこから右岸のガンカク尾根に出れば、すぐに出合に戻れる。上流はゴーロ主体の沢となっていると思われるが、未確認。ぬめるがフリクション勝負の滝があるためラバーソール+たわし適。
  • 西俣 下四郎作沢:2級(今回遡行)
    周囲に崩壊地が多く、出合から源頭までずっと開放的なガレが続く、異色の沢。滝登りは楽しめないが、開放的なガレ登りを楽しめる沢としての価値はある。落石が頻発するので多人数での遡行は薦められない。下降ルートとしても利用可能。ラバー適。
  • 西俣 柾小屋沢:2級(今回下降)
    出合から1720m付近までは滝が連続し、側壁も立派で面白いが、それより上流は殆どゴーロ、たまに現れる小滝も見栄えがしない。遡行の場合は、途中で尾根に上がって下山しても良さそう。この沢もアプローチが非常に遠いので、割に合わない。
  • 東俣 オシヤリ沢:2級(今回遡行)
    この沢最大の20m滝こそ登れないが、目測10m以上ある滝が3つ登れ、小滝登攀を楽しめる沢。しかし二軒小屋から1時間程度のアプローチであり、遠さを考えると割に合わない。1700m付近にある大量の湧水が印象的。ラバーソール可。
  • 東俣 ジャガ沢左俣左沢:1級上(今回下降)
    1700m付近に2つの滝があるゴルジュがあるが、それ以外は殆どガレしかない沢。オシヤリ沢遡行時の下降路としては優れているが、遡行価値はない。

    ※訪渓順に記載

大井川源流部では、リニア中央新幹線の工事による環境変化が想定されている。今回、有志による環境事前調査として、東俣林道の通行許可を得て渓谷調査をするという話を頂いたため、滅多にない良い機会だと考え、大井川源流部の複数の沢を遡下行調査することにした。

1日目の記録↓

2日目のこの日は、西俣の中では滝が多そうな上四郎作沢と柾小屋沢に狙いを定めた。
結果としては、現地で下四郎作沢にも興味を持ったためそちらも遡行し、また、3日目の下山が早かったため、当初4日目に予定していた東俣オシヤリ沢〜ジャガ沢も調査した。

大井川西俣~上四郎作沢下部・下四郎作沢遡行~柾小屋沢下降(2日目)

二軒小屋の川廻しの滝。水量が凄い。

東俣(手前)と西俣(奥)の二俣。東俣の水を取水して二軒小屋発電所で発電して西俣に放流しているため、西俣の方が遥かに水量が多い。

中央新幹線の工事用トンネルができる予定の位置が明示されていた。工事が始まったら、どれほど賑わうのだろうか。

保全上重要な植物でも生えていたのか、マーキングが沢山されていたが、それらしき植物は見当たらなかった。

こんな観測装置もJR東海の手によって至る所に建てられていた。

西俣沿いにかつては林道があったようで、すっかり崩壊している箇所も多いが、こんな風に旧態を留めている箇所もあった。

上四郎作沢に入ると、すぐに連瀑帯が始まる。

ぬめりが気になるが、快適にフリーソロで登れる滝が多くて楽しい。

この滝も直登
この滝も直登したはず

連瀑帯の終わりに出てきた綺麗な簾状滝。ぬめるので右岸から巻き気味に直登。滝場が終わったら右岸のガンカク尾根へ。

ガンカク尾根を下り終え、下四郎作沢に入ると、上とは違って開放的なガレの沢。

7m滝:滝も少しはあるが、容易に巻ける。

この3段10m滝も小さく巻いた

雪渓が残る悪沢岳をバックにガレを登る。詰め終わった尾根上では登山道の存在に気付かず時間をロスした。

柾小屋沢を下り始めて最初の滝らしい滝。6mで苔が多い。まともな滝は殆どなく、ガレを下っていく。

ガレの途中で見つけた、結構快適だった幕営地

柾小屋沢下降~オシヤリ沢遡行~ジャガ沢左俣下降(3日目)

柾小屋沢は下降の終盤になって滝が多く出てくる。最初の10m滝は、左岸懸垂下降。

次の7m滝あたりから側壁が立派になってくる。これも左岸懸垂下降。遡行なら登れそう。

立派な側壁の間を落ちる7m滝。これは左岸をクライムダウン。

柾小屋沢最下流の2段11m滝も懸垂下降。西俣から東俣へ移動。

東俣の曲輪(マゲワ)沢出合付近で釣師が幕営していた。

曲輪沢出合の先の橋はこんな有様で、渡れない。林道跡地の状況は西俣と同様で、部分的に無くなっているが、釣師の踏み跡は結構明瞭。

オシヤリ沢に入って最初の11m滝は、巻いた方が楽そうだが、直登できそうなのでたなリード。結構登り応えがあった。

1700m付近で左岸から大量の湧水。本流の水量は一気に減る。

湧水の隣にある2段12m斜滝は快適に直登。

10m滝もシャワーを浴びて直登。

オシヤリ沢最大の20m滝は登れそうになく、右岸から巻くが、小さく巻けるのでストレスはない。

快適に登れる小滝が続く。

最後の8m滝を登ると平凡な沢になるので、左岸支流を詰めてジャガ沢へ。

ジャガ沢は殆どガレだが、1700m付近だけ顕著なゴルジュになっていて、この11m滝は懸垂下降。

その下の7m樋状滝はクライムダウン。

ゴルジュが終わるとまたガレゴーロばかりの沢になる。時間的に余裕があるのでたなが釣りをすると、イワナがかかった。あとは、淡々と下山。(たな追記:ヤマト・ニッコウの混血と思われる)

・感想(たもしま)
大井川源流部の沢は、地形から予想していた通り、ゴーロやガレが多く、沢登りとして面白いかというと、そうでもない箇所が多かった。アプローチの大変さを考えると、わざわざ再トレースするような沢ではないだろう。とはいえ豊富な湧水、清冽な水、奥深い山を感じながら未知の沢を探検調査することができ、非常に有意義な2日間だった。貴重な機会を頂いて感謝している。工事によりこれらの湧水が失われるとしたら残念なことである。

・感想(たな)
大井川源流域の調査遡下降。
リニア調査で林道通行許可を頂けるなんて、好きでやってる沢歩きが役立つなら願ったり叶ったりだ。

上四郎作沢の出合から上流は、本流の水は完全に伏流していた。宿舎や工事用トンネルの建設予定地には、工期が「平成31年5月31日」と記載がある許可標識のみ工事が始まらないまま立ち続けていた。
今回歩いた沢はいずれも、壮大なガレや豊かな湧水、もっさり生えたコケや元気な水棲昆虫が印象的だった。ヤマトイワナの純血個体には会えなかった。
南アの地下構造は複雑だ。こんな場所本当に掘れるのだろうか?地下水脈が繋がっており、トンネルを掘った位置だけでなく一見関係無さそうな場所でも湧水が涸れる可能性があるとしたら?考え始めたらキリが無いが、リニア工事の行く末を注視して行こうと思う。

装備・コースタイム

1日目:6:49 出発 – 7:13 二軒小屋発電所 – 7:49 中央新幹線 工事用トンネル坑口予定地 – 8:12 蛇抜沢出合 8:14 – 8:43 新蛇抜沢出合 8:44 – 17:15 宿泊地
(合計10:26/距離14.6km、登り2,199m、下り1,702m)

2日目:7:01 宿泊地 – 8:35 蛇抜沢出合 8:36 – 8:52 中央新幹線 工事用トンネル坑口予定地 – 9:22 二軒小屋発電所 – 9:46 蝙蝠岳登山口 9:48 – 10:46 オシヤリ沢出合 10:48 – 16:41 蝙蝠岳登山口 16:42 – 17:00 帰着
(合計9:59/距離15.9km、登り1,395m、下り1,917m)

ラバーソール概ねOK

遡行図

四郎作沢・柾小屋沢遡行図
オシヤリ沢(図中では扇沢と記載)・ジャガ沢遡行図

地名

・オシヤリ沢は「南アルプスと其渓谷 : 時間記録と費用概算」(平賀,1931)、「赤石溪谷」(平賀,1933)に拠る。源頭にはオシヤリ沢山もある。中部山岳の渓流(鈴野,1983)では「扇沢」。
・西俣に直接合流しているのは四郎作沢で、その右俣が下四郎作沢、左俣が上四郎作沢。(「南アルプス南部 (アルパイン・ガイド 第12)」(山本朋三郎 編,山と渓谷社,1960))
・四郎作沢と柾小屋沢の間の沢は名称不明。
・ジャガ沢は、赤石渓谷(平賀文男,1933)でジヤカ沢、「岳人」や「山と溪谷」で蛇眼沢という表記も見られる。

周辺施設

 リニア工事の事前調査のため、東俣林道の通行許可を得ていたが、今回駐車地点先に施錠ゲートがあり、これ以上は車では入れない。

他の記録

・上四郎作沢および下四郎作沢は、「南アルプス南部 (アルパイン・ガイド 第12)」(山本朋三郎 編,山と渓谷社,1960)や「南アルプスの山旅 (登山地図帳)」(山と渓谷社,1955)において、蝙蝠岳への登路として紹介されている。
・柾小屋沢は登山大系で紹介されているが、遡行図はない。
・オシヤリ沢およびジャガ沢は記録未見。

〇本件ヤマレコはこちら

1994年生。ぶなの会所属。大学に入ったタイミングで沢登りを始め、沢登り歴13年、訪れた沢は約1000本。沢を登るだけでなく下りも交え、一層その流域への理解を深めたいと考えている。最近は、情報の乏しい隠れた秀渓を探すのにハマっている。

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