巻機山|五十沢川 割石沢遡行・大窪沢右俣右沢下降

前日、小チョウナ沢で散々な目に遭った。その近隣の沢へ行く案もあったが、ちょっと気分を変えたくなり、前々から気になっていた、行きやすいのに記録の殆どない割石沢を選択。
記録
独自の5大要素(体力・登攀・悪さ・藪漕ぎ・水量)を1〜6段階で数値化した沢の個性化パラメータです。従来のグレード(難易度)とは異なります。
・定義や意図は「源流徘徊」を参照。
・従来の一般的なグレードについては、たもしまが付けているものを採用しています。
★10段階で評価。個人の好みや思い出要素も含みます。
- 割石沢右俣:3級
マイナーだが、アプローチが至近で、渓相がずっと良く、登りごたえのある滝も適度にあり、面倒な巻きもなく、詰めも楽、山頂の眺望は抜群という、素晴らしい沢。下山路はないので沢か藪を下る必要がある。入山料500円かかるのが欠点。ラバー適。 - 大窪沢右俣右沢:2級下
それなりに綺麗で登れる滝もある沢だが、わざわざ遡行するには物足りないし、詰めも比較的長い。滝の多くはクライムダウンすることも可能なので、割石沢遡行時の下降ラインとしては優れている。遡行記録は未見。ラバー適。
みやて小屋駐車スペースへ駐車。準備しながら、裏巻機のパトロール隊の方々とお話しできた。今日は登山道を整備しに山へ入るとのこと。
登山道を歩いてすぐ、割石沢出合に到着。素晴らしいアプローチの良さだ。

出合から見える大岩と割れ目。割石沢の由来だろうか。

入渓するにも、どこから入渓するか迷うような巨岩の連瀑。

アンカーから謎の資材がぶら下がるクラックを偵察。上部が悪そうなのと、巻きもそこまで面倒ではなさそうなので直登は諦めた。左岸側から藪交じりの岩を巻く。

沢に戻ると出てきた滝。函持ちのトイ状9mで、上空に巨大CSがある。非常にシンボリックで面白い地形だ。
たもしまが泳いで取り付き直登を探るも、厳しいようで戻ってきた。左岸から木登り気味に巻いて、落ち口へ抜けた。その後はシャワーで登れる滝が続く。

この辺からカラフルな礫岩が目立つようになる。水流に磨かれている場所は特に綺麗だ。
地質図で見ると、割石沢の大半は確かに礫岩になっているが、この鮮やかさは予想外で楽しい。

沢幅いっぱいを塞ぐ巨岩は、なんと下からくぐれてしまう。まるで洞窟探検だ。

土砂が流れ込んで塞がったら、別ルートを探さないといけないだろう。
洞窟をくぐると、沢が開けて一層明るい渓相になる。

この滝は水流左のクラックからショルダー+カムエイド。
古い軟鉄ハーケンの残置があった。

泳いで取り付き登る。良い感じの礫岩アスレチックだ。
この沢、釜の一つ一つがやたらと深く、土砂の堆積も少ない。

ハイハイムーブで突破。

カラフル礫岩の色彩が本当に美しい。

続く18m滝は水流左から直登。

その後も釜持ちの爽快な滝をいくつか越える。

ここも少し泳ぐ。

やがて渓相が落ち着き、綺麗な平流区間へ突入。地質も変わり、会越国境の沢を思わせるような明るいデイサイト凝灰岩系のナメになった。

と思ったらナメが終わって登りごたえのある滝が出てきた。色々弱点を探した後、水流右から直登。ここにも古い軟鉄残置がある。

また立派な滝が出てきたが見た目より容易で、ロープを出したが結局支点は取らなかった。

中だるみ無し、明るく開放的で”ダークじゃない越後”を体現したような渓相が続く。ご機嫌なたもしまの鼻歌が止まらない。まるで頭から♪を生やしたようにルンルンで進んでいく。





やがて基盤が五十沢流域らしい花崗岩へと変わっていく。

適度に登り応えのあるチムニー滝も出てきて、飽きさせない。源頭が近付くと越後あるあるの小悪い見た目の滝が出てくるが、いざ取り付くとガバが多くて快適なものばかりだった。至極スムーズに進んでいく。この沢、整い過ぎている。

最後は大した藪も無く、快適に詰め上がる。南魚沼の田んぼが色づいていた。

せっかくなので、1475mのピークへ寄り道。藪が無く、眺望が開けていて気持ち良い。「割石の頭」と仮称を付けることにした。

適当に藪斜面を下って大窪沢右俣右沢へ降り立つ。すぐに白くて明るいナメ床になる。

出てくる滝は全てクライムダウンか巻き降りで処理できる。景観も良いし、下降に丁度良い沢だ。

沢幅いっぱいに広がるナメ滝。

少し進むと、前方目線の高さくらいにキイロスズメバチの巣があった。よく見るとハチがわんさか出入りしている。
刺激しないように、そっと距離を取って通過した。ゴルジュだったらヤバかったかもしれない。
登山道の横断地点から沢を離れ、下山開始。決して歩きやすい道ではないのだが、立地を考えると登山道がある事自体が凄いと良く分かる。パト隊の方々の努力の賜物だ。
満足して車へ帰着。見て楽しい、登って楽しい滝が続き、岩質や渓相の変化も楽しめるジオい沢だった。
・感想(たもしま)
まさか、こんなにもいい沢が、こんな近くに、こんなマイナーなままで眠っていたなんて。これだから、マイナー沢は面白い。昨日は随分モチベーションが下がったが、今日は逆に、かなりモチベーションの上がった山行だった。
今回のラインは、日帰りの周回としてかなり秀逸で、お薦めである。最後の登山道歩きが大変なのが玉に瑕だが、補って余りある沢の内容だ。
装備・コースタイム
・ラバーソール適
・ロープは30mで可
6:38 みやて小屋 – 12:20 高棚ノ頭 – 14:54 大窪沢 新道・4合目 – 16:17 坪池沢 – 16:29 不治心得の岩 – 16:44 みやて小屋 – 16:44 ゴール地点
(合計10:06/距離10.6km、登り1,231m、下り1,242m)
遡行図

地名
・割石沢について、他説はない。
・大窪沢について、渓流釣場事典(鈴野,1979)では「万七沢」とされている。
・割石沢~大窪沢間の五十沢川支流については、『越後の山旅 下巻』(藤島玄,1979)が最も信頼できそうな資料である。それによれば、遊歩道と交わる支流は下流から順に割石沢、坪池沢(大ヒド沢の支流)、大ヒド沢(本流)、小林沢、小滝沢である。地理院地図や現地案内板の「ツボイケ沢」は大ヒド沢であり、「大ヒド沢」は小林沢である。
下山メシ&周辺施設
○みやて小屋
入山料金1人500円を五十沢キャンプ場に支払う必要がある。
早朝に入る場合は、前日までに五十沢キャンプ場に要連絡。
○ラーメンハウス万福亭
具沢山ラーメンと気さくなスタッフさんで人情溢れるお店。

他の記録
○割石沢
非常に入渓しやすいのに、記録は極めて少ない。以下2件のみを確認。
・1976年10月 割石沢左俣-大ビト沢下降(原文ママ) 小泉共司、家田勇男
岳人366号(未読)
登山大系の記載の元となっている記録。
・1978年7月 割石沢右俣遡行(途中エスケープ) 北村正臣、千葉博志、喜多廉太郎
巻機山研究(豊島山岳会編, 1979)
○大窪沢右俣
今回下降した右沢は記録未見。本流である左沢については下記2件を確認。
・1974年9月 武藤仁一、北山加一郎、小泉共司 岳人336号(未読)
登山大系の記載の元となっている記録。
・1978年9月 橋本(道)、渡辺 わらじ年報2
〇本件ヤマレコはこちら





