大井川|倉沢〜上倉沢遡行・上倉沢枝沢遡行

記録
独自の5大要素(体力・登攀・悪さ・藪漕ぎ・水量)を1〜6段階で数値化した沢の個性化パラメータです。従来のグレード(難易度)とは異なります。
・定義や意図は「源流徘徊」を参照。
・従来の一般的なグレードについては、たもしまが付けているものを採用しています。
★10段階で評価。個人の好みや思い出要素も含みます。
- 倉沢〜上倉沢:4級
下倉沢との二俣までは発達したゴルジュが断続的に続き、楽しく登れる滝が多い。上倉沢に入っても滝が多い。南アルプスにありがちな退屈なゴーロ区間が殆どなく、最後は大量の湧水で終わり、尾根まで詰めずに登山道で下山できる。ヤマトイワナが多い。※永年禁漁区のため注意。 - 上倉沢・三ノ沢(仮称):2級下
18m程度ある最大の滝以外の全ての滝が登れるので、結構楽しめる。時間が足りない場合の上倉沢からのエスケープルートとしては悪くない。アプローチが長いため、わざわざこの沢のために行くような沢ではない。登山道横断点より上流も登れる滝やナメが多いが、水量は少ない。 - 上倉沢・四ノ沢(仮称):1級上
集水域が狭いのに水量が多い、湧水豊富な沢。上倉沢から快適に登れる滝を連ねて登山道と交わるので、上倉沢からのエスケープルートとしては楽しめる。アプローチが長いため、わざわざこの沢のために行くような沢ではない。
倉沢は南アルプス屈指の難渓ということで、前々から気になっていたが、東俣林道が一般車通行止めのため、後回しになっていた。今回、リニア中央新幹線工事の事前調査として林道に車で入る許可を頂いたため、支流の調査を含めて遡行することとした。

倉沢吊橋:まだしっかり架かっているが、踏み板は落ちている。かつては倉沢へのアプローチに使えたようだが、もう無理。

倉沢に入ると、すぐにゴルジュAが始まる。

ゴルジュAの核心、大岩をエイドで越える3m滝。ちょうどいいところに残置ハーケンあり。

ゴルジュBの始まりの4m滝。左から。

ゴルジュBの3m滝:容易に巻けるが水線を攻めてみたら、登れた。

右から大きい枝沢が入る。滝が連続しているので興味深い。

ゴルジュBとゴルジュCの間は結構ガレている。

ゴルジュCに入る。奥の2段9m滝は右から小さく巻く。

この2m滝は右から落ち口へトラバースするところがバランスを要す。(たな追記:この滝を登ろうとするイワナがぴょんぴょんジャンプしてた)

樋状4m斜滝の下で水流を横断。増水していると大変かも。




水流をくぐって右から4m滝を登ると、



ゴルジュDに入って最初の関門、この8m滝は良い位置にリングボルトが打たれていて、右からA0で登攀。

10m滝は絶望的に見えたが、岩をくぐったりショルダーしたりして、意外と直登できる。

ゴルジュDの最後、12m滝は絶望的で、左岸から大きめに巻く。

沢に戻るとすぐにゴルジュEが始まる。この8m滝はボルトエイドで登攀されたこともあるようだが、残置は見当たらないので、右岸から巻く。通常このまま二俣まで巻くことが多いようだが、

せっかくなので沢に戻ってみると、なかなか立派なゴルジュだ。

その奥には激しくひょんぐる8m滝。

右岸の壁をたなリードで登攀したが、非常によくぬめるのでかなり登りにくかった。

登りきると、残置スリングとビナが。かつてこの沢を下降した人が残置したのだろう。

ゴルジュEの最後のこの滝は登れそうにないので、右岸のぼろい壁を登ってゴルジュEを脱出。

二俣を左の上倉沢へ入り、最初の5m2条滝


厳しそうな滝を連ねるが、簡単に巻けるゴルジュを巻くと、幕営適地があった。


20m滝:右から巻く。上倉沢も想像以上に滝が多いが、巻くのはそれほど苦労しないものが多い。

2段12m滝からゴルジュが始まる。これは右から巻いて水流に戻る。


沢の屈曲点にある18m滝。右から小さめに巻いて、

懸垂下降で沢に戻る。おそらくこの巻き方が最も効率的。以降は滝が少なくなるが、ゴーロは少なく渓相は悪くない。

時間に余裕があるので、四ノ沢を登ってから本流を下降してみることにする。四ノ沢は快適に登れる滝が多い。

これも四ノ沢の滝。集水域は狭いのに水量は多い。湧水があるのだろう。

登山道を経て、上倉沢本流のガレに降りる。凄いガレだ。山登魂の記録で「ふざけたガレ」と書かれていたのも納得。

少し下ると大量の湧水。キンキンに冷たい。

17m滝。右岸から懸垂下降で、自然石橋の上に降り立つ。

3段35m滝。これも右岸から懸垂下降した。


三ノ沢に入ると、快適な小滝が続いた後にこの17m滝。登れるかもしれないが、厳しそうなのでやめて、右から巻く。


10m滝も直登。三ノ沢も登れる滝が多く、なかなか良い。

2段10m滝。登山道が交わった後も滝があり、ナメもある。

25×30m多段ナメ滝:悪くはないが、水量が減ってきて寂しくなってくる。

最後の4m滝を登り、右岸をトラバースして登山道へ。長々と登山道を下って終了。
・感想(たもしま)
昔から名渓と言われているのに恥じない、登り応えがあって美しい、秀渓であった。増水していないタイミングで、通常大きく巻かれている滝も最小限の巻きで悔いなく登ることができ、また、支流2本も調査出来て大変満足した。
トンネル工事が行われるのはここよりだいぶ北の二軒小屋周辺のため、倉沢流域にまでは影響がないとされているが、果たしてどうであろうか。この沢は今後も遡行されるだろうから、変化を見守りたい。
・感想(たな)
ゴルジュあり、滝あり、イワナありの山深い渓谷で素晴らしかった。どのゴルジュ区間も大巻きし過ぎず”不明区間”を生まずに潜り込めたので満足。
ラバーもフェルトも全体的に無効化してくる岩質なので、足元には気を付けたい。今回はラバーで滑りながら行ったがフェルトだと太刀打ち出来ない場所も多い。ほんとやる気無くしそうなくらいヌメる。
「こんこんと湧く」なんて表現が生温く感じるほどの湧水帯が印象的で、南アの豊かさを改めて実感した。
人が殆ど入らないからこそ守られてきたヤマトイワナの楽園。この地域に来る釣り師はヤマトイワナの希少性は理解していると思うけど、沢ヤはどうだろうか。頼むからこの沢は涸れないでほしいなぁ。
装備・コースタイム
1日目:7:52 滝見橋 – 8:20 倉沢吊橋 – 15:22 倉沢二俣 15:32 – 16:40 宿泊地
(合計8:48/距離7.2km、登り1,406m、下り1,008m)
2日目:7:59 宿泊地 – 12:09 上倉沢横断点 12:13 – 16:15 標柱(トラバース道起終点) 16:16 – 17:35 滝見橋
(合計9:36/距離10.5km、登り1,532m、下り1,941m)
ぬめりはあるが、フリクション勝負の箇所も少なくないため、ラバーソール推奨
遡行図

地名
・上倉沢の枝沢に名称はついていないと思われるため、下流から順に一ノ沢(1730右岸)、二ノ沢(1820左岸)、三ノ沢(1825右岸)、四ノ沢(1880右岸)、五ノ沢(1920右岸)と仮称を付した。
・ゴルジュA〜Dの名称は沢登りルート図集100選、関東周辺の沢等に記載のもの。ゴルジュEは、ゴルジュDの次のゴルジュのため、誰かが使い始めたと思われる。
他の記録
・倉沢〜上倉沢は記録多数。
・倉沢の二俣までの初登記録は、沢登りルート図集100選における、1974年8月2日〜8日の高橋清らによるものか。この時は二俣から下倉沢へ入っている。
・鈴木隆らにより1983年12月30日〜1984年1月5日に、冬季遡行されている(岳人452号)。
・上倉沢の枝沢は記録未見だが、エスケープルートとして使われたことはあるかもしれない。
〇本件ヤマレコはこちら
1994年生。ぶなの会所属。大学に入ったタイミングで沢登りを始め、沢登り歴13年、訪れた沢は約1000本。沢を登るだけでなく下りも交え、一層その流域への理解を深めたいと考えている。最近は、情報の乏しい隠れた秀渓を探すのにハマっている。















































