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上信越国境|中津川(魚野川) 千沢遡行

2025.07.26

記録

日程
2025年7月26日〜27日
メンバー
たもしま、たな
天候
晴れ一時雨(2日とも)
体3攀3悪3藪4水6
たもしま★9、たな★9
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独自の5大要素(体力・登攀・悪さ・藪漕ぎ・水量)を1〜6段階で数値化した沢の個性化パラメータです。従来のグレード(難易度)とは異なります。

・定義や意図は「源流徘徊」を参照。

・従来の一般的なグレードについては、たもしまが付けているものを採用しています。

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★10段階で評価。個人の好みや思い出要素も含みます。

  • アプローチ
    左京横手を含む、北沢〜西大倉の区間において、笹薮が繁茂しており非常に歩きにくい。マーキングも少なく、要RF力。
  • 中津川 千沢:5級上
    野反ダムの下流にあるため、その放流量で水量・遡行難度が大きく変わる。今回は、多めの水量だった。発達したゴルジュに登攀困難な滝がいくつもあり、高巻きも一筋縄ではいかない所が多い。水量が多ければ渡渉も困難であり、日本有数の難渓となる。東電に放流量を問い合わせてから行くのが無難と思われる。

千沢は、上信越の谷105ルートという結構流通している書籍に載っていて、普通に1泊2日で行けそうな沢、かつ面白そうなのに、近年の記録が全然見当たらないので、数年前から行ってみたいと思っていた。結構難しそうな沢なので、なかなか機会に恵まれず、先延ばしになっていたが、今回、遂に行くことになった。

旧草津街道は、地形図の1724標高点のあたりから藪が濃くなってくる。一時的に道をロストした。その後も左京横手やイタドリ沢右岸側等、状態が悪く苦労した。

長いが道の状態は良い大倉坂を下ると、渋沢ダム。いかにもヘリで運んできたという感じの荷物が雑多に置かれていた。

渋沢ダムにはこんな掲示が。野反ダムはここでの取水量を安定させるためのダムだが、取水していないということは、水量はどうしているのだろうか・・・?

渋沢ダムの下流:すごい水量。

中津川を遡行して魚野川と千沢の合流点に至ると、圧倒的に千沢の水量の方が多い。これは、やばいのではないか。

明らかに地上に生えているはずの草が水没しているし、やっぱりやばそう。

いよいよゴルジュが始まる。最初の8m滝は登れそうになく、次の6m滝とまとめて右岸から巻いていく。

さらにこの5m斜瀑も巻いたところで、沢に戻る。

水量は多いが濁ってはおらず、渓相もなかなか良いではないか。

それにしてもとんでもない水量。こんなの遡行できるのか?

しかし近づいてみれば、意外と何とかなる所の連続。とはいえ足を滑らせて流されたらどうなるか分からない。

この淵を泳いで左岸の岩へ上がる。

立木から短く懸垂下降してこの滝の左岸のバンドに出て、滝の右壁を登る。

その先も泳いだりへつったりして進む。

やがて開けた川原になった。次のゴルジュに入ると時間がかかりそうなので、この少し先で幕営。

本日の釣果。痩せたイワナが多い。

こんな草が完全水没しているなんて。今日も明らかに水が多い。

周りは真っ白だが、割と何とかなる。

5m2条の滝。右の水流から直登。

岩間4m滝。右の水が跳ねる所を横断して右壁を登る。奥には支流の巨大な滝が見える。

本流の8m滝と、支流の85m滝。凄絶なところだ。

8m滝は登れそうにないので豊野氏の記録と同じルンゼを登ろうとしたが、脆いのでやめて左岸から巻き、懸垂下降でルンゼの上に降りた。

CSから右岸側に登ろうとすると、朽ちたリングボルトが。

リングボルトは使えないので、懸垂下降に使ったロープをトップロープとして使って突破。トップロープ使用含め、ここは巻きの方が合理的だった。

次の5m滝は、豊野氏の記録では右岸側を小さく巻いているが、水量が多く渡渉できないので断念。

左岸側から5m滝を巻き、懸垂下降2pで沢に戻る。良いバンドがあり、あまり大巻きせずに済んでよかった。

沢に戻ったところには流れの速い淵があり、全力で泳いでも突破できない。いろいろ試した結果、左岸の壁を少し登ってから飛び込んで突破。

ようやく核心ゴルジュを突破したが、まだまだ気は抜けない。

ショルダー2回で越えた2条4m滝。

いつのものなのか、残置トラロープがあった。

3m滝を登ると綺麗なナメが出てくる。ちょっと水が多すぎるが。

なかなか良いナメだ。

ナメが終わると2〜3m程度の小滝と釜が続く。水量が多いせいでどれも少し大変で、なかなか面白い。

3m滝:右から。

ちょっとした段差でも大変。

ボイルが凄い。

なので、へつるしかない。

渓相が良い。

7m樋状滝:右から小さく巻く。

どでかい釜の半分が白い。

イタドリ沢出合の先の8m滝:イタドリ沢から回り込んで、左壁を直登。

イタドリ沢の10m2条滝。

右岸には、旧流路と思われる穴が。

イタドリ沢の3段40m滝。この沢も、まみくとい山の会により遡行されているらしい。

滝はなくなりペースアップ。大沢、左京沢、焼ノ沢を分け、最後のちょっとしたゴルジュがこれ。特に難しいところもなかった。

荒砥沢、北沢を分け、左岸から支流が入った直後、右岸側にあった謎の道。どこかへは繋がってそうだが、何のために?

最終盤、川原のない激流ゴーロが続き、ラッセルのように疲れる。

堰堤は左の巻き道から越える。

ダム直下の水源は、こんなだった。何なんだこの半人工的な難渓は。なお、雪渓はなかった。

・感想(たもしま)
久々に、緊張感のある遡行が続く沢だった。流されたら助からないかもしれない渡渉やへつり、ロープを抜いたら戻れない上、先に進めるかも分からない懸垂下降、泳いで突破しようにも水流が強すぎて流される淵…そんなのの連続。
最近は、大井川倉沢のような上級に位置付けられる沢でも、既存の記録以上に水線を攻められるくらい、余裕があることが多くなっているが、今回は豊野氏の記録を追うだけで一杯々々だった。その原因が放流量の多さに起因する水量の多さであることは明らかで、人為的なものではあるが、それでも、これほどやり切った感のある遡行は、なかなかできない。4月に行ったフィリピンのTibiao川〜Bantang川以来かもしれない。水量は多くて困難だったが、我々でもぎりぎり遡行可能な水量であり、充実感という意味ではむしろちょうど良かったかもしれない。
是非、多くの沢屋にこの特殊なゴルジュを味わってみてもらいたい。

・感想(たな)
かつて無いレベルで”水と闘う沢”だったが、この水量は野反ダムの気分次第で増えたり減ったりする。人工的な環境だけど、とんでもない大渓谷になっていた。
ゴルジュ帯はワンミス溺死であろうへつり、生存本能が拒否する渡渉、ロープを抜いたら戻れない懸垂など痺れる要素だらけだった。イワナも大変そうで、何匹か釣ったが痩せてヒョロヒョロの個体が多かった。
今回は転進でフラっと行く形になってしまったが、そんな意気込みでは勿体無い本気渓で、やりきった感もひとしおだ。放水量が穏やかなタイミングを拾えれば、もっと平和な遡行になるだろう。

装備・コースタイム

1日目:7:54 白砂山登山口 – 8:03 ハンノ木沢 – 8:22 地蔵峠 8:23 – 9:15 左京沢 9:17 – 9:43 左京横手 9:44 – 10:12 イタドリ沢 10:19 – 10:59 西大倉山 – 11:49 渋沢ダム 11:53 – 15:34 宿泊地
(合計7:40/距離11.1km、登り1,133m、下り1,412m)

2日目:8:11 宿泊地 – 16:25 野反湖バス停 16:28 – 16:28 帰着
(合計8:17/距離5.8km、登り1,424m、下り1,117m)

・ぬめりもあるが、どちらかと言えばラバーソール有利と思われる

遡行図

地名

・現在、行政上は、「千沢」は中津川本流のうち、魚野川合流点〜野反ダム間の別名であり、魚野川は中津川の支流である。(出典:国土数値情報、野反ダムの諸元情報)
・かつて(1:25000地形図では1986年発行版まで)は、雑魚川と魚野川との合流点から下流が中津川とされており、当時は千沢は魚野川の支流とされていた。1997年以降発行の1:25000地形図では、魚野川と千沢の合流点から下流が中津川である。
・支流の名称は「渓流釣場事典」「苗場・谷川・岩菅集成図」に拠る。両者の内容は同様。

周辺施設

入山口に10台程度駐車可能な駐車スペースあり。

他の記録

WEB上には記録はない。
・上信越の谷105ルート(豊野則夫, 1999)
 豊野則夫らが1997年9月に遡行。内容は概ね的確。
・山と溪谷754号(1998年5月)
 徒登行山岳会の水瀬孝夫による遡行記録が掲載されている。(時期不明)
・山と溪谷762号(1999年1月)(未読)
 千沢について、何らかの言及がある。
・岳人503号(1989年5月)(未読)
 徒登行山岳会による遡行記録が掲載されているらしい。これが初登記録か。
・岳人510号(1989年12月)(未読)
 千沢について、何らかの言及がある。
・岳人513号(1990年3月)
 まみくとい山の会の20周年記念誌に、1989年8月の千沢遡行の記録が載っているとの記述がある。
・日本登山大系 2 (1981)
 千沢について、完全遡行できていない沢として言及されている。

〇本件ヤマレコはこちら

1994年生。ぶなの会所属。大学に入ったタイミングで沢登りを始め、沢登り歴13年、訪れた沢は約1000本。沢を登るだけでなく下りも交え、一層その流域への理解を深めたいと考えている。最近は、情報の乏しい隠れた秀渓を探すのにハマっている。

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