胆振|登別渓谷下降

記録
独自の5大要素(体力・登攀・悪さ・藪漕ぎ・水量)を1〜6段階で数値化した沢の個性化パラメータです。従来のグレード(難易度)とは異なります。
・定義や意図は「源流徘徊」を参照。
・従来の一般的なグレードについては、たもしまが付けているものを採用しています。
★10段階で評価。個人の好みや思い出要素も含みます。
- 登別渓谷:3級
大水量のゴルジュが途切れることなく続き、常に緊張感のある遡行を楽しめる秀渓だが、2023年には途中の2m滝が越えられず撤退した。2024年には別Pがさらに上流まで遡行したが、やはり越えられない滝で撤退している。下降であれば特に難しいところはなく、手軽に大ゴルジュを味わえるが、増水時は危険度が大きく上がりそうであるため、要注意。
2年前に発見し、遡行を試みるも中退した登別渓谷。素晴らしい内容だったので、GORGE CLUBの鈴木氏にお薦めしたところ、昨年、我々が登れなかった滝を越えて先まで進んだが、やはり完全遡行はならなかった。しかも、撤退した先にあるのは遡行でも下降でも厳しそうな滝だったとのこと。キャニオニングに強い彼がそう言うのだから、キャニオニング経験の殆どない我々の手に負える代物ではないのではないか、とも思ったが、やはり、自らの手による完全解明を諦めるわけにはいかない。
遡行がかなり困難なのは分かっているため、今回は下降を試みる。核心部の水線突破が難しいなら、エイドして巻いてでも通過してやろうと意気込み、ボルトや残置用ハーケンも沢山準備し、いざ出陣。
新登別大橋右岸の駐車場公園に電動キックボードをデポし、登別CC〜カルルス温泉間の道路の路肩に駐車する。

アプローチに選んだ枝沢は、藪漕ぎもなく下りやすくてラッキーだった。

本流に出ると、温泉成分により水は記憶以上に濁っている。そしてよくヌメる。そのため、とても面倒なゴーロ歩きとなる。

下降を始めると、なぜか増水時にしか水の流れない流路にケルンが積まれていた。

ゴーロ歩きの途中で、側壁は次第に高くなってくる。それでも足元はヌメるゴーロのままだ。

この岩をくぐれというかのように、ピンクテープまである。ケルンといいテープといい、意外と人臭い。なぜこんなところに、と思ったが、後でたなが魚影を見た。きっと、熱心な釣り師が入っているのだろう。

地図からは、高くなった側壁に立派な滝が懸かっているのではないかと予想していた。しかし、涸れていたり、左岸側の岩壁の下部から勢いよく水が噴き出していたりするだけで、滝はなかった。残念。

ゴーロ歩きに飽き飽きした頃、やっとゴルジュに突入する。ゴルジュになるのは165mから下流なので、アプローチは左岸側からこの辺りを目指して下る方が、ゴーロ歩きが短く済んで良いかもしれない。

この区間は初見だが、2年前に見たのと如何にも同質のゴルジュで、相変わらず見応え十分だ。側壁に挟まれた流れや深い淵を、一つずつ下っていく。

最初の2mCS滝。遡行であればちょっと大変そうな滝はこの1つだけで、ほかに大した障害物はなく、核心と思われる最狭部へと進む。

最狭部では、右岸からベールのような滝がいくつも落ち、水路の幅も1mほどまで狭まっている。ここが、GORGE CLUBが撤退した所だろう。一見やばそうだが、水流をよく見れば段々になっている激流で、危険な水流は無さそうだ。水線をそのまま下降することに決めた。

最狭部から振り返って撮影。

激しいボイルに、右岸から落ちるベールのような滝。厳しくも美しいゴルジュだ。

写真を撮りながら慎重に下っていくが… 気づいたら足が滑って、頭を下流にして流されていた。そのまま一瞬で流れ下り、釜へ。予定外ではあるが、やはり危険な水流ではなかったようだ。流された最狭部を振り返ると、確かにこれを遡行するのは厳しそうだ。(たな追記:たもしまはスマホをいじりながら一瞬で激流に吸い込まれていった。慌てて落ち口から覗くも姿が見えず、一瞬乾いた笑いが出たが、よく見るとだいぶ流された先で楽しそうにプカプカ浮いていた。)
釜をそのまま泳ぎ抜け、核心部は終了。身構えていた割には、呆気なかった。ここから先は、鈴木らのPが下降したことがある所だ。

こんなゴルジュ内にミヤマクワガタがいた。

3mCS滝はボイルしていて水深も分からないので、念のためハーケンを打って残置し、懸垂下降した。

ボイルした釜に着水しながら懸垂のロープを解除することになるだろうと警戒したが、CS裏に立てるスペースがあった。3mCS滝の釜を泳ぎ下るたな。

3mCS滝の全景。

2023年に登れなかった2m滝も、下降なら一瞬で飛び降りて終わる。たなが「再挑戦してみる?」と言うが、別に、これを登ることに拘りはない。ここまでくれば、もう安心だ。

ここは遡行ならば巻いて懸垂下降する箇所。以降は2年前にも来ているところである。

ぬめりには悩まされながらも、癒されながら下っていく。問題なく下れるだろう、と油断していたら、ぬめりで滑って流されて、少し手と膝を怪我した。ありゃりゃぁ。

湧水が豊富なため、水は常に冷たい。

ミルキーブルーの淵が続く。

新登別大橋が見えたが、遥か上だ… 登るのめんどくさい。

新登別大橋の下の急斜面を登る。ルート次第では藪や崖に阻まれるので面倒だが、途中から残置ロープも出てきて登りやすくなった。

不快な急登をこなして新登別大橋に出て、宿題の回収完了。橋の上から、下ってきた渓谷を見下ろす。予想よりは呆気なかったが、満足の半日だった。
・感想(たもしま)
登別渓谷は、平水時の下降であれば気軽に大ゴルジュを楽しめることが分かった。異色の沢歩きとしてお薦めである。
遡行は完遂されていないが、鈴木らの記録と今回の下降結果を考え合わせると、不可能ではないように思える。どなたか、挑戦してみては。
・感想(たな)
日高の継続遡下降で大満足だったので、ついでに下降しに行くくらいの感覚で行ったこの渓谷。ベールの滝は最悪大巻きになるかなと思っていたが、まさかのスライダーだった。タモにとってかなり思い入れのある谷で、記録も気合い入れて書いていたのでぜひ多くの方にこの熱が伝わると嬉しく思う。個人的にはこの谷のミルキーブルーな水の色の発生源を突き止めたいと思った。
装備・コースタイム
6:46 出発 – 12:55 帰着(合計6:08/距離6.5km、登り559m、下り745m)
・ラバーソールだったが、2年前よりぬめりがきつく感じた。下降であればフェルトソールの方が良いかもしれない。
・水温低く、要ウェットスーツ
遡行図

周辺施設
○新登別大橋
自殺の名所であり、完成した昭和61年以降で100人以上が亡くなっている。心霊スポットでもあるとされている。
○カルルス温泉 湯元オロフレ荘
単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)で、マイルドな温泉。洗い場のシャワーから出るお湯まで全て源泉を使用している。大人600円。
他の記録
・2023年の中退記録(tamoshima):
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5823604.html
・2024年の中退記録(鈴木助ほか):
https://suzukitasuku.com/sawanobori_noboribetsukeikoku/
〇本件ヤマレコはこちら
1994年生。ぶなの会所属。大学に入ったタイミングで沢登りを始め、沢登り歴13年、訪れた沢は約1000本。沢を登るだけでなく下りも交え、一層その流域への理解を深めたいと考えている。最近は、情報の乏しい隠れた秀渓を探すのにハマっている。

























