御坂|柄杓流川 マムシ沢遡行・不動沢下降・バケモノ沢遡行

記録
独自の5大要素(体力・登攀・悪さ・藪漕ぎ・水量)を1〜6段階で数値化した沢の個性化パラメータです。従来のグレード(難易度)とは異なります。
・定義や意図は「源流徘徊」を参照。
・従来の一般的なグレードについては、たもしまが付けているものを採用しています。
★10段階で評価。個人の好みや思い出要素も含みます。
- マムシ沢:2級
コウモリ沢同様忘れられた沢で、核心部は立派な側壁をもち登れる滝も多く楽しめるが、短いのですぐに登山道に出てしまう。アプローチの長さを考えると割に合わないが、屏風岩クライミングや他の沢の遡行と組み合わせれば充実する。 - 不動沢:1級下
柄杓流川の本流と思われる沢だが、ナメが多少ある程度で滝はなく、遡行価値はない。下降路としては使いやすく、バケモノ沢と他の沢を組み合わせる際には便利である。 - バケモノ沢:2級上
コウモリ沢同様忘れられた沢で、核心部は15〜25m程度の登り応えのある滝が3つ連続して楽しめるが、容易に巻くこともできる。アプローチの長さを考えると割に合わないが、屏風岩クライミングや他の沢の遡行と組み合わせれば充実する。 - 四等三角点木山 東尾根
特に何もない尾根で、下りやすい。
2020年にコウモリ沢を遡行した時、マイナーながら結構良かったので、その隣でそこそこ面白そうな、マムシ沢もそのうち行ってみたいと思っていた。集水域の狭さから水量は少なそうだが、標高は高く気温は低そうなので、雨の翌日で気温が比較的高い予報だったこの日、行ってみることにした。マムシ沢だけだとすぐ終わりそうなので、同流域で登り応えがある滝が多そうな、バケモノ沢も組み合わせた計画とした。

出発から1時間近くゴーロ歩きをして、漸くマムシ沢最初の滝に到着。フリーソロで登り始めたが、意外と悪いので途中からロープを出した。最初の滝にして、マムシ沢で核心の滝。





10mCS滝は、右から直登。程なくして登山道に出る。

びしょびしょの屏風岩を眺めた後、不動沢を下降。不動沢はほとんど何もなかった。

バケモノ沢に入り、最初の18m滝。右から登り、左にトラバースして水線に入る所が悪く、ロープ使用。

直後の15m滝は、水流の右から直登。使える残置ハーケンあり。

水量の少ないケナシ沢を分け、本流の24m滝。ここもロープ使用。


仏沢出合はゴルジュ状で、奥に7m滝。その先で水は涸れ、古い空き缶の多い詰め。
地図を見て分かっていたことだが、両沢とも、単調なゴーロのアプローチが割と長い割に、楽しく沢登りができる区間は短い。どちらか1本の沢だけのために行くと物足りないだろうが、今回のように2本以上組み合わせたり、屏風岩でのトレーニングと組み合わせるのは悪くないと思う。水量は少ないが、水が冷たいので、あまり寒い日にはお薦めできない。
沢の内容はともかくとして、長年気になっていた沢を確認でき、良い1日だった。
装備・コースタイム
8:23 出発 – 8:23 達磨石 8:26 – 10:47 屏風岩 11:03 – 14:32 木無山 14:33 – 14:46 三角点峰「木山」 – 15:34 達磨石 – 15:36 帰着
(合計7:13/距離7.2km、登り1,194m、下り1,198m)
・ロープはバケモノ沢遡行なら45m以上推奨、マムシ沢だけなら30mで可。
・ラバーソール+たわし適
遡行図

地名
・本記録および遡行図における沢名は、東京附近沢歩き(山と溪谷社編,1956)及び山(朋文堂)196号(田中幸男,1952)に拠る。
※現代登山全集8(1961)や日本登山大系4(1981)等では、不動沢をバケモノ沢、バケモノ沢を大船沢としているが、記述の詳細さ等の観点から、東京附近沢歩き及び山196号の方が信憑性が高いと判断した。
※尚、不動沢の詰め終わり地点付近には屏風岩に不動尊が祀られている(たな追記)。
・柄杓流川については、かつては釈迦流川、杓子流川とも書かれた。
・柄杓流川の読みは、行政上は「しゃくながれがわ」であるが、柄杓を「しゃく/しゃくし/ひしゃく」、流を「ながれ/ながし」と読むバリエーションがあり、どれが正しいとも言い難い。
・コウモリ沢については、コーモリ沢や蝙蝠沢という表記も見られる。
・大ブナ沢については、大船沢や大鮒沢という表記も見られる。
・柄杓流川本流の上流部を「府戸尾沢」としている概念図もある。(例えば、中央沿線の山旅(羽賀正太郎,1961))
他の記録
○WEB上
マムシ沢、不動沢、バケモノ沢のいずれも、沢登りの記録はWEB上には確認できない。アイスの記録はマムシ沢を登ったとするものが1件あった。
・2011年2月 東京北稜山岳会 マムシ沢(?)アイスクライミング
https://www.hokuryo.org/kiroku/New/2011-02-26.htm
この記録は、登山道に出る前に詰め上がっているため、マムシ沢の本流以外のどこかを登ったものと思われる。
○書籍・雑誌
主なもののみを記載。鉄道のみでアプローチできることもあってか、マイカー普及以前はよく登られていたようだ。
・山(朋文堂) 176号 (小林稠,1950)
「大船澤右俣」として、マムシ沢(本流)を紹介。
・山(朋文堂) 196号(田中幸男,1952)
「三ツ峠南面の谷」と題し、コーモリ澤、マムシ澤、バケモノ澤を紹介。なお、マムシ沢は本流ではなく右岸支流である。沢名は鉄道省山岳部の「中央沿線の山々」に従ったと書かれているが、当該資料は未見。
・1955年? 野口冬人ほか2名 マムシ沢遡行 「回想の沢歩き」(野口冬人,1987)
この記録も、右岸支流を遡行している。
・東京附近沢歩き(山と溪谷社編, 高島紀一・鯨井三朗 執筆, 1956)
コーモリ沢、マムシ沢、バケモノ沢を紹介。マムシ沢は本流ではなく右岸支流。
・富士とその周辺(伊藤堅吉・野口明・宮下義夫 共著,1956)
蝙蝠沢、バケモノ沢を紹介。バケモノ沢は大ブナ沢として掲載。
・東京附近の谷あるき(朋文堂編,伊藤堅吉 執筆,1957)
蝙蝠沢、バケモノ沢を紹介。バケモノ沢は大鮒沢として掲載。
・現代登山全集 第8巻(諏訪多栄蔵 等編, 御坂山岳会 執筆,1961)
コーモリ沢、バケモノ沢を紹介。バケモノ沢は大ブナ沢として掲載。
・日本登山大系4(柏瀬祐之 等編,武川俊二 執筆,1981)
コーモリ沢、マムシ沢、バケモノ沢を紹介。バケモノ沢は大船沢として掲載。
〇本件ヤマレコはこちら
1994年生。ぶなの会所属。大学に入ったタイミングで沢登りを始め、沢登り歴13年、訪れた沢は約1000本。沢を登るだけでなく下りも交え、一層その流域への理解を深めたいと考えている。最近は、情報の乏しい隠れた秀渓を探すのにハマっている。












