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南ア|大井川 所ノ沢〜上所ノ沢(布引ノ沢)~廿滝沢(仮称)遡行

2025.08.30

記録

日程
2025年8月30日〜31日
メンバー
たもしま、たな
天候
晴れ
体2攀3悪2藪0水3
たもしま★9、たな★6
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独自の5大要素(体力・登攀・悪さ・藪漕ぎ・水量)を1〜6段階で数値化した沢の個性化パラメータです。従来のグレード(難易度)とは異なります。

・定義や意図は「源流徘徊」を参照。

・従来の一般的なグレードについては、たもしまが付けているものを採用しています。

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★10段階で評価。個人の好みや思い出要素も含みます。

  • 所ノ沢:4級下
    倉沢と似た沢だが、登りがいのある滝やゴルジュは下流部に集中しており、滝が大きめな分核心部は短い。殆どの滝は直登でき、直登できない滝も小さく巻ける。1650m付近の上部ゴルジュも全て直登可能。湧水は少なく倉沢より水量は少ない。ラバーソール適。
  • 上所ノ沢[布引ノ沢]廿滝沢(仮称):2級上
    上所ノ沢本流は容易な滝がいくつかある程度。1815m右岸支流に入ると二十個程度の滝が連続し、概ね直登可能でそれなりに楽しめるため、廿滝沢(はただきさわ)と仮称する。ラバーソール可。下山の所ノ沢右岸尾根は藪や岩場なく下りやすい。
  • 所ノ沢右岸尾根
    藪や岩場はなく下りやすいが、ところどころ急斜面でザレている箇所もある。

所ノ沢は大井川上流部で代表的な沢の1つであり、今年実施中の大井川上流部集中調査の対象として、外せない1本である。遡行記録は結構あるものの、支流は調査されていないため、数ある支流の中でも最も等高線が混んでいる、上所ノ沢右岸支流に狙いを定め、行ってみることにした。

リニア中央新幹線工事の事前環境調査として、東俣林道通行許可を頂き、赤石渡付近の路肩に駐車。林道から急斜面を下り赤石沢に降り立つ。ダムより下流の赤石沢は、石だけでなく水も赤い。

F1(4m):何だか厳つく見えるが、ラバーソールなら左から簡単に登れる。

魚止め滝(F2/8m):右から直登を試みたが厳しいのでやめた。ハーケン打ってエイドして頑張れば登れそうだったが、岩が脆いのであまりやりたくない。右から小さめに巻き、立木から懸垂下降で沢に戻る。

F3(2段10mCS):CSの左から快適に直登。

F4(2段9mCS):下段は左のスラブを登ったが、ヌメるのでたわし使用。上段は狭いが容易。

F5(大滝/20m):一見絶望的な、下部の核心。エロポン(木下徳彦?)によりエイドで直登されているとのことで、近づいて見たら確かに登れそう。途中でカムが足りなくなりピッチを切ったが、フリーで登れた。カムが良く決まり、楽しく登れる滝で、巻いたら勿体ない。

F5をフォローするたな

F5の直後の8m滝:これもクセ有だったが、左から取り付き、激シャワーで落ち口へ。

次の10m滝は直登が厳しそうな割に、楽に巻けるので左から巻いた。

8m滝は、左壁を甘いホールドでトラバースしてから水線を登攀。

出た、名物の石橋。石橋の下にある4m滝は左からへつって登る。

石橋を振り返る

石橋の先には13mの滝:左をへつって取りつくまでがホールドが細かかったが、取り付いてしまえばガバが多く登りやすい。

石橋をバックにフォローするたな

このゴルジュ最後の2条6m滝。左の水流をカムA0しながら直登。

幕営できる川原を経て、直後の8m滝は登れそうにない。右から小さく巻いて立木から懸垂下降。

ナメ滝の先に10m斜瀑があるが、つるつるで登れそうにない。右の草付きから巻く。

左が易しそうだったが、右から登った5m斜瀑

岩の裏に落ちる13m滝。直登を探ったが、この水量では厳しそうなので、右のルンゼから巻いて立木から懸垂下降。

暫く平穏な沢が続いた後、上部ゴルジュが現れる。過去のどの記録でも巻かれているが、見てみると、登れそうではないか。とはいえそれなりに時間がかかりそうなので、

上部ゴルジュの手前で幕営。砂地で寝心地良し。

翌朝、上部ゴルジュを登攀。全てフリーソロで登れる程度(お助け紐は使用)で、想定していたほど厳しくはなかったが、見栄えのする良いゴルジュだ。

上部ゴルジュの上部は小滝だけになり、快適そのもの。

9m滝は、左から直登。あまり登りやすくはない。

6m樋状滝には都合よく流木があり、苦労せずに登れた。エロポンはエイドして登ったらしい。

上所ノ沢には期待していなかったが、一応ちょっとしたゴルジュもあった

廿滝沢の10m斜瀑:廿滝沢は、10m以下の小滝がこれでもかと連続する。側壁も結構立派で良い感じだが、水が少ないのが残念。

廿滝沢上部の5mCS滝:水量は少ないが水は冷たいし、割と登り応えのある滝だった。

苔の観察をするたな

詰め上がった稜線には、こんな綺麗な苔の絨毯が。ここから長く単調な下山が始まる。

それにしても赤石沢の赤い水は凄い。金属でも採掘できるのでは。

・感想(たもしま)
 先人の記録によると大高巻きが多いとのことだったので、面倒なのを覚悟していたが、実際には直登できる滝と小さく巻ける滝ばかりで、予想外に快適で面白い沢だった。大滝のフリー化と上部ゴルジュの(多分)初突破もでき、大変満足である。廿滝沢はできればもう少し水量が欲しかったが、登れる滝が多くてまずまずの内容だった。
 今回は車で赤石渡まで行ったのでかなり楽をしているが、自転車や徒歩等でもわざわざ行く価値のある、お薦めの沢だと思う。足の揃ったパーティで下所ノ沢の登山道横断点までの遡行であれば、日帰りも可能だろう。

・感想(たな)
沢に行きすぎてアキレス腱が痛くなったのでサボる気満々だった週末だが、結局沢に来てしまった。所ノ沢はアプローチが極端に遠いわけではないため、自家用車で林道に入れなくても十分にお薦めできる沢だ。
倉沢と双璧をなすイメージだったが、ゴルジュ区間は倉沢より短い。南アにありがちな大湧水帯が無いのは意外だった。魚止めとなる滝が無い区間の途中で、魚影がパッタリ消えたのは謎である。
所ノ沢越えの古道の存在も興味深い。きっともう辿れないほど野に還ってるだろうなぁ。

装備・コースタイム

1日目:8:46 出発 – 9:11 魚止ノ滝 11:15 – 16:25 宿泊地
(合計7:39/距離5.1km、登り980m、下り438m)

2日目:8:18 宿泊地 – 9:29 所ノ沢二俣 9:33 – 15:10 帰着
(合計6:52/距離6.8km、登り916m、下り1,485m)

・ラバーソール適
・ロープは40m1本だったが、30mでも可。

遡行図

地名

・登山大系では1725二俣の左俣を「布引ノ沢」、右俣を「本谷」としているが、現地の状況からは右俣を本谷とすることに疑問がある。本記録では南アルプスと其渓谷 : 時間記録と費用概算(平賀文男,1931,朋文堂)に従い、左俣を「上所ノ沢」、右俣を「下所ノ沢」とする。
・今回遡行した、上所ノ沢の1815m右岸枝沢に名称は確認できない。滝が二十(=廿)個程度ある沢であることから、廿滝沢(はただきさわ)と仮称する。
・今回下降した、倉沢と所ノ沢の間の尾根に名称は確認できず。

他の記録

・上所ノ沢の廿滝沢は記録未見。
○所ノ沢〜上所ノ沢
・わらじの仲間 わらじ20 宮沢直樹・大津政雄(1996年8月)
 遡行図有。上所ノ沢を遡行した唯一の記録か。とはいえ上所ノ沢に何か大したものがある訳ではない。

○所ノ沢〜下所ノ沢
・初登:岳人267号(S44年9月号)に掲載、新岳人講座5(1981)に再掲。遡行図有。
 静岡頂会の高橋弘らによるもので、1966年8月〜1968年9月に亘る6回の試登の末、1968年9月22〜23日に初登された。
・日本登山大系9(1982)に掲載されている。遡行図有。
・日本百名谷(1983) 大津洋介による記録。時期不明。遡行図有。
・さがみ山友会 源流溯行3 中島節子ほか(1999年7月)
https://drive.google.com/file/d/1oXq0BX9hbqT5wanO8px446oEqSirH91C/view
 遡行図有。下部ゴルジュはほぼ全巻き。
・山登魂 治田敬人ほか(2000年7月)
https://yama-to-damashii.outdoor.cc/reports/shono.htm
・山登魂 高橋弘ほか(2005年7月)
https://yama-to-damashii.outdoor.cc/050716tokoronosawa/01.html
・かっきー[にゅで氏],よっしー[あう],moto.p[けも氏](2008年7月)
http://kemotop.web.fc2.com/Report/2008/20080719/20080719.htm
https://www5b.biglobe.ne.jp/~yoshi-k/syonosawa08.html
 文中で言及されているエロポンは、2005年に所ノ沢を遡行した木下徳彦と推測。
・ヒーブーほか (2012年9月)
https://ameblo.jp/11harutomo/entry-11360791355.html

〇本件ヤマレコはこちら

1994年生。ぶなの会所属。大学に入ったタイミングで沢登りを始め、沢登り歴13年、訪れた沢は約1000本。沢を登るだけでなく下りも交え、一層その流域への理解を深めたいと考えている。最近は、情報の乏しい隠れた秀渓を探すのにハマっている。

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