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越後三山|水無川 西不動沢右俣遡行・笹花沢下降・ブナツルネ沢遡行

2025.10.04

最近、東不動沢の記録は良く見るようになったが、西不動沢は不遇である。西不動滝という遠くからでも見える滝があるのに、殆ど遡行されていない沢なのが興味を引き、西不動沢右俣へ行くことにした。下降ルートは笹花沢とし、翌日は午後から雨予報であることを考慮し、登山道下山となる(予定であった)ブナツルネ沢とした。

記録

日程
2025年10月4日〜5日
メンバー
たもしま、たな
天候
1日目:高曇り一時小雨
2日目:曇り一時小雨→雨
体3攀4悪3藪3水2
たもしま★6、たな★7
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独自の5大要素(体力・登攀・悪さ・藪漕ぎ・水量)を1〜6段階で数値化した沢の個性化パラメータです。従来のグレード(難易度)とは異なります。

・定義や意図は「源流徘徊」を参照。

・従来の一般的なグレードについては、たもしまが付けているものを採用しています。

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★10段階で評価。個人の好みや思い出要素も含みます。

  • 西不動沢右俣:3級上
    この沢最大の西不動滝は水線直登できないが、左の藪を登れるので高巻にはならない。訪渓時はぬめりが強く快適ではなかったが、タイミング次第かもしれない。水無川の核心部が一望でき景観が良い。詰めても登山道はないため、藪を登るか沢を下る必要があるのが難点。
  • 笹花沢:3級
    直登可能なナメ滝やスラブ滝が多いが、伏流がちなゴーロもそれなりに長い。下降の場合クライムダウンが難しい滝も多いので、遡行する方が快適。水量は少ないので増水時に行くのも良い。詰めても登山道はないため、藪を登るか沢を下る必要があるのが難点。
  • ブナツルネ沢[モチガハナ沢右俣]:4級下
    本谷を詰めれば1800mまで上がる沢だが、1000mを少し越えた所で多量の湧水があり、水が涸れる。詰めは急峻なガレが長く続き、面倒らしいため、水が涸れたら右岸尾根に上がり、下山する方が快適かもしれない。水涸れまでは滝が続き、登り応え/巻き応えもあって楽しめる。

越後三山森林公園に駐車。以奥の砂防工事用道路は、走破性の高い小型車なら光岩砂防堰堤付近まで入れそうである。
救助隊による、2021年、2023年、2025年の冬のものと思われる切り付けがある。今でもこういう切り付けをするという文化は残っているらしい

大雪橋:10月になってもまだまだ健在。例年になく残っている。

八海第2号砂防堰堤には今まで以上に流木が詰まり、ちょっとしたダム湖が出現。今年は雪渓が遅くまで残り、入渓者が少なかったためか、堰堤の巻き道が不明瞭化していた。

長いゴーロを経て西不動沢に入ると、早速登れる滝が出てくる。

5mCS滝:天気も良くなってきた
ぬめぬめの25m滝:ぬめらなければ快適に直登できそうなのに。
ぬめる25m滝はシャワーで直登
この色。本当によくぬめる。

この8m幅広滝の、左が左俣、右が右俣。右俣に入ると水量は大幅に減る。

右俣の10m滝:左を直登
西不動滝が見えてきた

西不動滝をドローンで撮影:最下段は右から巻き、中盤は左のスラブを登って、上部は滝の左脇の薮を登攀。

下から見るとこんな感じ

垂直に近い藪を登っていると、古い残置ハーケン発見。かつてもここを登っていたのだな。

いくつかの小滝を経て水が涸れ、スラブを登る。振り返れば水無川の核心部が良く見えて感慨深い。ここには良い思い出も悪い思い出も詰まっている。

快適なスラブは長く続き、殆ど薮はなく詰め終わる。

笹花沢の源頭部は藪交じりのスラブだが傾斜は緩めで下りやすい。

次第に水が出てくると滝も出てくるが、脇の薮をつかんで下れるものばかり。

ナメ斜瀑が続く。
1つだけハング滝(11m)があるが、容易に巻ける。

多段115m斜滝と伏流がちなゴーロを経て、綺麗な斜瀑が連続するエリアに突入。

なかなかの癒し系だ、登りならもっと快適だろうに。

このくらいなら下りでも快適
本流が近づいてきた
合流直前まで綺麗なナメ滝が続く

八海第2号砂防堰堤の堆砂域は平坦なので快適に幕営

翌日、朝から雨が降ってモチベーションはあまり上がらなかったが、やんだので、予定通りモチガハナ沢へ。五俣までは概ねゴーロだが、簡単な滝もなくはない。

ブナツルネ沢に入って最初の滝。いきなり悪い。左の薮をつかんで小さく巻いて落ち口へ。これが行場の滝か。

続けて10m滝が出てくるが、これは左壁から登攀。

4mCS滝は右の水流からシャワーで直登。冷たい。

10m滝。左の草付きから巻く。

15m滝から、登れない滝が続くので、すべて左の草付きから巻く。

この10m滝もまとめて巻く

巻き終わると5m滝。苦労してtamoshimaがショルダーで登攀し、

たなはゴボウでフォロー。

その次の7mCS滝もそこそこ登りにくかった。

右岸に大量の湧水がある、4m滝から始まる連瀑。この連瀑は登れる滝が続くので面白いところ。

7m滝は右から巻いて、
15m滝は左から巻く。
4m斜瀑と、その上の7m滝

2段8m滝は左から登って、すぐ上の9m滝は左から巻く。

最後の6m2条滝を右の岩下から直登すると、

実はこの2条滝がここで湧水していることが判明。

上流を見れば、もう水がない。さんざん悩んだが、水と共にやる気は消え去ったので、帰ることに決定。

尾根を目指しながら、本流の計100m近い段瀑を振り返る。水があればさぞ立派だろうに。Google Earthによれば、融雪期にはどうやらちゃんと水があるらしい。

こんな無名の尾根にも、古い切り付けがあった。解読が正しければ、昭和24年のものか。
そのまま適当に藪尾根を降ったが、下降であれば比較的スムーズに進めた。

・感想(たもしま) 
 西不動沢はぬめりが強くて快適ではなかったが、西不動滝は立派で見応えがあり、ドローンで良い写真も撮れたので良かった。左の垂直に近い藪を登れば落ち口に出られるのも好印象。また、詰めは眺めの良いスラブで爽快だった。ここから見える水無川核心部の谷も滝沢、北沢、北沢右俣、真沢、御月山沢と、大体行ったところだというのも感慨深い。
 笹花沢は、ロープを使わずに下れたものの、やはり登った方が楽しいだろう。
 ブナツルネ沢は下部は登れない滝が多く、途中から面白くなってきたが、想定よりもかなり下で水涸れしてしまった。水無川流域にもこんな沢があるとは。これから雨が降る下り坂の天候の中、涸れ谷をわざわざ詰める気にもなれず、右岸尾根に上がって下山してしまったが、詰めは面倒らしいし、雨も車に着くころには本降りになってきたので、結果としてはこれで丁度良かった。

 優れない天気の週末ではあったが、それにふさわしい天気の、凄く良い訳でもない沢を探検するという、ちょうど良い山行ができた気がしていて、満足している。

・感想(たな) 
今季はほとんど南ア漬けだったが、久しぶりに越後の渓へ。
水無川流域を一望でき、その概念がよく分かる景観は色々と感慨深いものがある。山岳信仰や先人沢ヤの探検などで、錯綜しまくっている地名の整合推理が面白い山行となった。

ブナツルネ沢は想定よりかなり早い段階で水枯れする沢だったが、ある意味”水無川”らしい結果なのだろうか。
藪尾根下降が思ったよりイケたので、下降向きの沢が少ないこの山域でも今後のルート取りが広がりそうだ。

装備・コースタイム

1日目:6:46 出発 – 6:53 光岩砂防堰堤 6:54 – 7:01 見返りの滝 – 7:05 魚止滝 – 7:09 八海砂防堰堤 7:10 – 7:17 大雪橋 7:18 – 7:22 千畳岩 – 7:27 十二平登山口 – 7:36 八海第2号砂防堰堤 – 8:34 デトノアイソメ – 10:24 西不動滝 11:24 – 16:39 八海第2号砂防堰堤 – 16:41 十二平登山口
(合計9:55/距離9.0km、登り1,621m、下り1,480m)

2日目:7:13 十二平登山口 – 7:16 千畳岩 7:32 – 8:18 駒の行場 8:21 – 13:42 駒の行場 – 14:27 千畳岩 – 14:29 大雪橋 – 14:37 八海砂防堰堤 – 14:41 魚止滝 14:42 – 14:46 見返りの滝 – 14:53 光岩砂防堰堤 – 15:00 帰着
(合計7:47/距離7.5km、登り810m、下り945m)

・ラバーソール使用。ぬめりはあるが巻きのためにラバーソールの方が良い。
・メインロープは不使用、10m程度のお助け紐は使用。

遡行図

西不動沢右俣・笹花沢遡行図
ブナツルネ沢遡行図

地名

○ブナツルネ沢[モチガハナ沢右俣]
 登山大系や上信越の谷105ルートでは「モチガハナ沢右俣」だが、越後三山・只見集成図等に従い「ブナツルネ沢」とした。地理院地図では右俣の位置にブナツルネ沢と書かれており、一致している。最初の滝が、修験者が行をする「行場の滝」(中村,1969)。

○駒の行場
 文献によると、ガッカノ沢[モチガハナ沢左俣]とブナツルネ沢とノボリ沢が合流するところらしい。ノボリ沢の位置について、ブナツルネを下ってくると左にブナツルネ沢、正面にノボリ沢があるらしい(中村,1969)。候補となるのは五俣のうち一番右と右から2番目だが、一番右は水量がほとんどないため沢名がついているとは考えにくいので、右から2番目をノボリ沢と推定した。

※参考文献
・「上越国境 (日本山岳写真叢書)」塚本閤治 編 山と渓谷社, 1946
・「ふるさとの山 : 上信越国境を歩む」中村謙, 富士波出版社,1969
・「越後の山旅 下巻」藤島玄, 富士波出版社, 1979

他の記録

○西不動沢右俣
 西不動滝という顕著な滝があるが、記録は非常に少なく、WEB上にはない。文献記録は下記の2つを確認。
・1959年7月 年報独標 第1号(1954-57)(独標登高会, 1959) 重南昌男ほか2名
 初登と思われる記録だが、下部は左俣から巻いている。上部は雪渓下。登山大系の記述の原典もこの記録と思われる。
・1979年8月 渓谷溯行資料10(引用元:暁山岳会6号) 達崎登ほか1名
 雪渓はなく完全解明している。

○笹花沢
 遡行記録はいくつもあるが、下降記録は未見。初登は不明。

○ブナツルネ沢[モチガハナ沢右俣]
 記録は多いが、内容に問題のある記録が多いため、以下に確認できた全てを挙げておく。なお、水無川流域で中級レベルの沢とされることが多いようだが、実際には結構難しいので要注意。
・山と渓谷293号(1963年7月号)
 登山大系の記述の原典で、初登と思われる記録だが、読めていない。登山大系の記述に誤りはないが、概念図のみで遡行図はない。
・1979年8月 渓谷溯行資料10(引用元:暁山岳会6号) 高間秀忠ほか1名 遡行図有
 この記録は、その内容からブナツルネ沢ではなく、ノボリ沢を遡行していると思われる。なお、ノボリ沢の唯一の記録ではないかと思われる。
・1995年9月 わらじ年報19 関根幸次ほか3名 遡行図有
 この記録は正確であり、遡行図もある。
・1998年9月 上信越の谷105ルート 豊野則夫ほか 遡行図有
 実際には「4段60m滝」の下で水が涸れるはずだが、その上流で水が涸れると誤記されている。
・2007年9月 ぶなの会の3名 遡行図無
http://field2007.la.coocan.jp/mountain/climb/070902m.html
・2008年9月 わらじ年報31 大津政雄ほか3名 遡行図無
 この記録は、985m左岸支流を本流と勘違いした上で、支流だと思って本流を登ったが、1040mで右の涸棚を本流であると気付かずに右岸枝谷を遡行し、上部で長い藪漕ぎをしていると思われる。
・2022年9月 東山(HG)(杉並労山)、鈴木(横浜蝸牛) 遡行図無
https://yokohamakatatumuri.com/katatumuri-ac/come/come220925-1.html

〇本件ヤマレコはこちら

1994年生。ぶなの会所属。大学に入ったタイミングで沢登りを始め、沢登り歴13年、訪れた沢は約1000本。沢を登るだけでなく下りも交え、一層その流域への理解を深めたいと考えている。最近は、情報の乏しい隠れた秀渓を探すのにハマっている。

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