表丹沢|寄沢本流遡行(イイハシの大滝登攀)

記録
独自の5大要素(体力・登攀・悪さ・藪漕ぎ・水量)を1〜6段階で数値化した沢の個性化パラメータです。従来のグレード(難易度)とは異なります。
・定義や意図は「源流徘徊」を参照。
・従来の一般的なグレードについては、たもしまが付けているものを採用しています。
★10段階で評価。個人の好みや思い出要素も含みます。
- 寄沢本流:3級下
滝のある区間の長さが非常に短い割に、アプローチが長い。主瀑はイイハシの大滝で、容易な下段とそれぞれIV+程度の中段、上段からなり、連続した2ピッチの登攀が楽しめる。あまり濡れないので春や秋に良い。クライミングシューズを使うと楽かもしれない。
中津川下流部の沢の探索は半日で終わりそうだったので、残りの半日で行けそうなところを探したところ、寄沢本流が見つかる。メインのイイハシの大滝は上部が直登できないとされているので敬遠していた沢だが、改めて写真を見てみると、そこまで絶望的でもなさそう。この上段を登れれば登るという目標を持って、ここへ行くことに決定。
渡渉が多くあまり歩きやすくない登山道を進んでいき、地獄崩沢出合から寄沢に入渓。すぐに9m滝。ささっと登ろうと思うが、そんなに登りやすくもないので慎重に越える。次の4m滝は容易で、その次の5m斜瀑も容易かと思ったが、近づいて見るとそうでもない。右に取りついてみたり左に取りついてみたりした後、結局水流左を濡れながら登攀。すぐにイイハシの大滝が見える。

最初の9m滝:意外と登りにくいが右壁をフリーソロ

5m斜瀑:傾斜が緩い割に逆層で登りにくい。水流左から直登。
イイハシの大滝下段4mは右壁をさらっと登り、通常核心となる中段。ここは登れると分かっているし、自分は上段を登りたいので、たなにリードを譲る。たなは嬉々として登り始めたが、残置はあまりないようで、ハーケンを5本くらい打ちながら慎重にリードしていく。巻きでは突っ込みまくる彼女だが、こういう時はちゃんと慎重なのだなと感心。安定した登りで中段落ち口に達し、ビレイ解除。


イイハシの大滝中段をリードするたな:嬉々として登り始め、ハーケンを沢山打って登った。頼もしいね!
tamoshimaもフォローし、問題の上段。皆が巻いている割には、普通に登れそうに見えるではないか。ということでtamoshimaリード。下部は水流左から登り、上部は右壁を登っていくと、なんだ、残置ハーケンがあるじゃん。一応効いてそうなので利用させてもらう。そこそこ登りにくいが沢靴でも登れる程度で、さらに2つほどの残置ハーケンを見つつ、フリーで登攀成功。なかなか良い滝だった。さほど難しくもないのに、なんでこれを皆登らずに巻いているのだろう。皆見る目がないなぁ。既存の登れないという記録に惑わされすぎているのだろう。たなも問題なくフォロー。

イイハシの大滝上段:上段と呼ばれているがこれ自体が2段構成。

イイハシの大滝上段をリードするtamoshima:下部は水流左、上部は右壁を登攀。意外と残置ハーケン豊富。
大滝を終えても小滝はあるが、癒し系。6mの石積み堰堤が登れそうなので右凹角から登ったが、いつの間にか入る予定だった寄コシバ沢出合を通り過ぎていた。堰堤上から振り返ってみると、確かに左岸から涸れ沢が入っていた…。この先の本流はゴーロが続いているし、寄コシバ沢も水がなく全くそそられないので、登山道に出て終了。下山中、近づいても逃げないカモシカが印象的だった。最後に少し雨が降ったが、もう車に戻るだけなので問題ない。

下山中に至近距離で観察できたカモシカ
・感想(たもしま)
目標としていたイイハシの大滝上段の登攀は達成でき、充実した半日山行になった。また、たなの安定したリード力も改めて確認することができ良かった。
寄沢本流は、多少アプローチが長いものの、イイハシの大滝で充実した2ピッチの登攀を楽しめるため、丹沢では上級向けの沢としてお薦めである。これまでは殆ど登られていなかった上段も、特段難しいわけでもないので是非登るべきである。
・感想(たな)
丹沢の半日沢2本立て。午後はイイハシの大滝を登りに行った。
寄沢のルートは雨山峠越えのハイキングで歩いた事があり、イイハシの大滝に関しては名前だけは知っていた状態。結構デカい滝っぽい。
大滝の中段は私がリードし、下部は快適。きっと残置ハーケンベタ打ちだろうと思っていたら、全然見当たらず頭が潰れて使えないものが1個あっただけだった。ルート違うのかな?上部で一ヶ所少しムーヴが要求される所が出てきて、久しぶりの高度感にちょっとビビる。ハーケンいっぱい打った。落ち葉をどかしてヌメりを落としながらトップアウト。落口は滝が屈曲し岩の仕切りっぽくなっていたため、メインロープを伸ばして落口が真下に見えるように支点を構築。後続のtamoshimaさんを迎える。
上段はtamoshimaさんがリードし、本当に無駄の無い動きで登っていくなぁと眺めながらビレイ。上部は粘土が乗ったようなヌメりがありスタンスも少し細かいが、確かに沢登りの範疇として遊べる滝だと感じた。残置ハーケンは結構しっかりしていたが、いつの時代のものなんだろう。
満足して登山道を目指すと、石積みの古い堰堤が出てきた。吸い込まれるように登ってしまったが狙っていたルートは左岸から入るガレ沢。尾根をのっこして降りるか確認したら、水無いしこのまま登山道目指そうよとのことで賛成。帰りに会ったカモシカは、逃げるのも登山道使うから途中イタチごっこみたいになった。可愛い。12月に突如訪れた夏日を満喫できて、楽しい1日だった。
装備・コースタイム
12:07 寄大橋 – 12:09 水源の森・公衆トイレ – 12:16 後沢出合 – 12:21 宇津茂林道終点(=登山口) – 12:53 イイハシの大滝 15:09 – 15:15 釜場ノ平 15:18 – 15:43 宇津茂林道終点(=登山口) – 15:46 後沢出合 15:47 – 15:53 水源の森・公衆トイレ – 16:04 寄大橋
(合計3:57/距離5.2km、登り604m、下り612m)
・ラバーソールで問題なかったが、タワシは必要。
遡行図

他の記録
寄沢本流の遡行記録は多数あるが、イイハシの大滝の上段を登っている記録は確認できていない(確認済:Google検索、東京周辺の沢、丹沢の谷200、丹沢の谷110、関東周辺沢登りベスト50、丹沢の山と谷(登山地図帳)、東京付近の沢、登山大系)。それどころか、「取りつけない」とか「登れない」と書いてある記録もある。実際には、残置ハーケンが多数あり、かつて登られているようであった。
〇本件ヤマレコはこちら
1994年生。ぶなの会所属。大学に入ったタイミングで沢登りを始め、沢登り歴13年、訪れた沢は約1000本。沢を登るだけでなく下りも交え、一層その流域への理解を深めたいと考えている。最近は、情報の乏しい隠れた秀渓を探すのにハマっている。







