箱根|早川 猿飛沢下降・椿沢遡行

記録
独自の5大要素(体力・登攀・悪さ・藪漕ぎ・水量)を1〜6段階で数値化した沢の個性化パラメータです。従来のグレード(難易度)とは異なります。
・定義や意図は「源流徘徊」を参照。
・従来の一般的なグレードについては、たもしまが付けているものを採用しています。
★10段階で評価。個人の好みや思い出要素も含みます。
- 椿沢:3級下
箱根において、沢登りらしい沢登りができる唯一の沢と思われる。主なゴルジュが2つあり、どちらもそれなりに突破し甲斐があって、楽しめる。上流の林道からのごみが多いのが欠点だが、水は綺麗。ラバーソール適。標高は低いがシャワークライムが多く、寒い日には向かない。 - 猿飛沢:遡行不可
登れない滝が多いため下降向きの沢。上流に林道があるためごみが多いが、湧水が流れており水は綺麗。規模の小さい沢だが地形は険しく、懸垂下降を4回も要した。上記椿沢へのアプローチルートとして下降すれば充実する。
前日に続いてこの日も天気予報が悪かったため、比較的雨が降りにくそうな箱根の、気になっていた谷筋を探索してみることに。箱根は沢登りでは不遇の山域で、伏流している谷やゴーロばかりの谷が多く、唯一新崎川土肥大杉沢が遡行されている程度である。
林道足柄幹線の路肩に駐車。林道から眺める目的の谷は水もなく、全く意欲が湧かないが、とりあえず来てみたので入渓すると、ゴルジュに続いて湧き水も滝も出てきて、沢らしくなり良かった。側壁も滝も立派で悪くない。懸垂下降を連続させて下っていき早川本流へ。





早川本流から上流を見ると、強烈なゴルジュにどでかい石積堰堤があり、迫力が凄い。後で調べてみたら、実際凄い堰堤だった。

大平台堰堤と、奥の大平台上流堰堤:昭和初期にこんな立派な堰堤を一体どうやって建造したのか。

汚い早川を我慢して下って椿沢に入渓すると、すぐにゴルジュ。一目見て結構大変そうだと思ったが、実際適度に難しいゴルジュで、なかなか面白い。その後も登れる小滝が連続。箱根にこんなに楽しめる沢があったとは。椿沢水路橋を過ぎると水は減り、上部ゴルジュに着くころには岩を濡らす程度。上部ゴルジュは大した滝はなく進んでいったが、最後に厳しいCS滝が出現。ここはたながリードしてA1で突破。最後まで楽しませてくれる谷ではないか。緩い斜面を登ればすぐに林道。







箱根にも中級レベルの、それなりに遡行価値のある沢があることが分かり、県民として非常に有意義な開拓だった。遠方から訪れるような沢ではないが、県内~都内の沢屋がいつもとは違う山域で沢登りを楽しみたいと思った時にはお薦めである。水量は少ないが濡れるので寒くない日が良い。
装備・コースタイム
7:20 出発 – 9:08 大平台堰堤 9:10 – 10:44 椿沢水路橋 10:49 – 11:52 帰着
(合計4:32/距離3.3km、登り606m、下り607m)
・ラバーソール適
遡行図

(作成時は、猿飛沢ではなく蛇喰沢(?)としていた)
地名
(2026年4月修正:蛇喰沢(?)→猿飛沢)
・猿飛沢の名は、渓流釣場事典(鈴野)に拠る。この周辺の小字名として「蛇喰沢」があり、「作業道蛇喰沢線」はそれに拠ると思われる。猿飛沢の別名が蛇喰沢である可能性もある。
・椿沢の名は、現地にある「椿沢水路橋」と、渓流釣場事典(鈴野)に拠る。
早川本流にある堰堤について
早川本流にある堰堤が凄かった。石積で古そうだが高く立派で風格があり、只者ではない雰囲気を感じたので帰宅後に調べたところ、大平台堰堤及び大平台上流堰堤と言い、関東大震災を受けて昭和初期に造られた、文化財級の堰堤であった。実際、下流にある同時期に造られた出山堰堤は県の登録有形文化財であるが、なぜ一層高くて工費もかかっている大平台上流堰堤が文化財になっていないのかと思う。
※参考資料
・相模川外四河川流域震災復旧砂防工事報告(土木学会誌、大正15年4月)
http://library.jsce.or.jp/Image_DB/eq1994/proc/00034/12-02-0323.pdf
・土木学会第十六回視察旅行記事(土木学会誌、昭和6年5月)
http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/m_jsce/17-05/17-5-004.pdf
・昭和三年度直轄工事年報(内務省土木局)
https://www.pwri.go.jp/team/tishitsu/archives/AnnualReports/data/mainfails/bunkatsuhyouji/showa3/showa3dai5.pdf
他の記録
・ゼフィルスさんによる滝見の記録
猿飛沢:http://park7.wakwak.com/~zephyrus/hebikui.htm
椿沢:http://park7.wakwak.com/~zephyrus/hakone.htm
〇本件ヤマレコはこちら
1994年生。ぶなの会所属。大学に入ったタイミングで沢登りを始め、沢登り歴13年、訪れた沢は約1000本。沢を登るだけでなく下りも交え、一層その流域への理解を深めたいと考えている。最近は、情報の乏しい隠れた秀渓を探すのにハマっている。














