【NZ南島沢登り】ミルフォードサウンド Access Peak East Creek (仮称)遡行

Milford Soundは、フィヨルドが織りなす壮大な景観が特徴の人気観光地だ。U字谷の側壁は非常に厳峻で、融雪出水の時期も相まり、信じられないスケールの大滝が大岩壁に何本もかかる景色に息をのむ。
2026年元旦、NZの山岳オウムKeaにおちょくられながら観光していると、ギリギリ沢登りとして何とかなりそうな大滝を発見した。上部はコロッセオ状に広がる空間に絶望的な滝が数本かかっているが、そこより下にある右岸側の樹林帯を伝って下山できそうに見える。登れるのか?ミルフォードサウンドの沢に手を出せるのか?マジか?
高鳴る期待とともに、翌日のアタックへ向けて準備を整えることにした。
記録
- Access Peak East Creek (仮称)
Milford Soundの壮大な氷食地形の中を登れる、ほとんど滝とゴルジュだけで構成された圧巻の渓谷。
国道94号の路肩に駐車し入渓。生憎の曇り空とガスだが、入渓早々に岩盤が露出した滝が始まる。この辺の地質は斑レイ岩系の深成岩で、ハースト川流域とは随分違った印象の沢だ。
もはやどこからどこまでを1つの滝と見なすか判断が難しいが、早速今日登るべき超大滝が目の前に現れた。


沢全体が一つの大滝のような渓相だが、意外とホールド・スタンスが豊富で、頼りになるニラもあり、順調に登っていける。
水流脇を登ったり、シャワーを浴びて登ったり、ルートは色々と取れる。水は冷たいので、多少動きにくくてもウェットスーツを着て来て正解だった。


登っていると、どこからともなくKea(和名:ミヤマオウム)が飛んできた。また人間をおちょくりに来たらしい。
NZ南島固有種の非常に賢い鳥だ。今にも言葉を発してきそうなくらいに感情豊かな仕草をしてくる。

やがて傾斜が少し緩み、下から見えていた巨大連瀑に一区切りがついた。この先は傾斜は緩むが側壁が立ちゴルジュ状になる。
準備段階では、ここは1つ目のエスケープポイント(右岸の樹林帯が近付いている位置)としていた。フィヨルドの沢は、樹林が乏しい大岩壁が広がるため、何も考えずに登り続けると降りる手段が無くなる可能性がある。ボルトでもあれば話は別だが、今回はそこまで考えていない。
もし先が厳しそうなら最悪ここで撤退も視野に入れていたが、こんな所まで来るとやはり先が気になってしまう。しかも何とかなりそうな地形だ。先に進むことにする。




やや悪い登りでゴルジュ中盤を処理し、振り返るとガスも相まって幽玄な景色が広がる。
もうこの時点で日本の沢のスケール感を大幅に超えている。


ゴルジュ上部は快適に登攀できて、視界の先にはさらに大滝が待ち構えていた。
まだこんなのがあったのかと笑ってしまう。
U字谷の側壁にかかる沢なので、やはり上部へ行くほど傾斜が立ってくる。うまくホールドは繋がっているが、1か所足が全くないニラ登りを強要される個所も出てきた。シャワーを浴びながら登っていくと、少しガスが薄くなってくる。



大滝がひと段落し、視界の先にはおそらく昨日観光時に見えた絶望のコロッセオが広がっているであろう場所に到着した。
が、良く見えない。見たい。見た過ぎる。
時間的にも地形的にもここが下山ポイントになるため、ガスが晴れるタイミングを狙うことにした。
30分程待つと、ほんの一瞬だがガスが取れる瞬間があり、待望の景色が広がり歓喜した。

ハングしたボロ壁の大滝は直登できそうな代物ではなく、そのスケール感には圧倒されるばかりだ。
ジグザグにバンドを繋いで巻きながら登れるかもしれないが、沢ではなくアルパインクライマーの領域になってくるかもしれない。そして下山どうする問題が常に付き纏う。
満足して、右岸樹林帯へ向けてトラバースを開始した。樹林をつないでの下山は、特段困難な箇所は無く順調に進んでいく。
下山していると、ガスが晴れて青空が広がりだした。なんで今~?



氷河が造る芸術的かつ壮大な地形を間近で感じながら、触れることができてとても良かった。
ミルフォードサウンドの沢に手が出せた、もうこれだけで大収穫である。
装備・コースタイム
40mロープ、ラバーソール、カム、ハーケン、ウェットスーツ
駐車スペース7:30-コロッセオ13:09-駐車スペース16:05
遡行図

ミルフォードサウンド散策
世界遺産のフィヨルドランド国立公園に位置するNZの代表的な景勝地。クルーズや小型飛行機の高級ツアーもあるが、無料で散策するだけでも非常に思い出に残るのでおすすめ。





kōaro遭遇記はヤマレコにも掲載済み。
地名
Access Peakの東側にある渓谷で、他の資料が一切無いため、今回の仮称を付けた。























