谷川岳|一ノ倉沢一ノ沢遡行・マチガ沢シンセン沢右俣下降

一ノ倉沢一ノ沢は、三浦さんのブログで高評価であるものの、他には最近の記録が全然ないので、ぜひ自分の目でも見てみたいと思っていた沢だった。今回、ちょうど紅葉の時期、日帰り沢しか行けないような天気予報だったため、行くことにした。
記録
独自の5大要素(体力・登攀・悪さ・藪漕ぎ・水量)を1〜6段階で数値化した沢の個性化パラメータです。従来のグレード(難易度)とは異なります。
・定義や意図は「源流徘徊」を参照。
・従来の一般的なグレードについては、たもしまが付けているものを採用しています。
★10段階で評価。個人の好みや思い出要素も含みます。
- 一ノ倉沢一ノ沢:4級
一ノ倉沢でも困難な沢とされ、登るのに一癖ある滝が非常に多い。首都圏から近いアプローチで雪に磨かれた困難な沢を味わえる貴重なルートであり、登攀的な面白さに沢の価値を見出す沢屋にはお薦め。 - マチガ沢シンセン沢右俣:1級上
殆ど伏流ゴーロのみの沢で遡行価値はないが、一ノ倉沢一ノ沢遡行時の下降路としては下りやすく、利用価値がある。左俣は源頭部が岩壁であり、クライミングのルートとして登られている。
谷川岳インフォメーションセンター(200円/日,トイレ有)に駐車しスタート。

今年の一ノ倉沢は、いまだに雪渓が結構残っている。このまま越年するだろう。紅葉は、下部で見頃。

一の倉沢に入渓。すぐにナメ小滝が連続して、美しい。今日は水量も多くてなお良い。

一ノ沢に入渓して振り返ると、4ルンゼを登った時にはほとんどひょんぐっていなかったひょんぐり滝が、今日はちゃんとひょんぐっていた

ゴーロを少し登ると、さっそく滝の連続になる。この先、休みなく滝が続く。これは最初の5mCS滝。


地味に登りにくかった6m滝(左IV)



10m樋状滝:これも結構登りにくい。メインロープ使用でカムA0。


2段12m滝:この辺まで上がってくると、紅葉は終わっている



15mCS滝は、tamoshimaが左岸から登ろうとしてセミになり、たなが巻いて上からロープを垂らした。タイムロス。

そのまま5mCS滝も巻いたが、三浦さんの記録によると、これは登れたようだ。

左岸からスラブで2段25mが入る、1315m二俣。奥の9m滝は直登が大変そうだったので、2段25m滝下部を巻き気味に登って巻いたが、これも見た目よりは悪かった。

最後の難所、7mCS滝。遠くからの見た目以上に悪く、ショルダーしてさらにA0もして、何とか突破。

6m樋状滝と、左岸のスラブ:ようやく、悪さが落ち着いた。

シンセンのコルから、シンセン沢右俣の下降に入る。急傾斜だが植生が豊富で下りやすく、ロープは使わずに下れた。

シンセン沢の二俣から、左俣を見上げる。こっちもアルパインクライミングのルートとして登られていることを、帰ってから知った。

マチガ沢本流まで下ったところで、左岸に美しい苔のある湧水を見つけた。

マチガ沢は概ねゴーロだが、所々に滝やナメもあり美しい。
・感想(たもしま)
予想以上に登り応えのある沢だった。登山大系や三浦さんのブログでは事もなげに書いてあるが、本流の4ルンゼより全然悪い。大きい滝はないが、微妙に登りにくい小滝が多く、それをどう処理していくかが、なかなか面白い。普段の水量は少ないようだが、前日までの雨で、増水していて沢らしくなっていたのも良かった。景観の良さでは4ルンゼに劣るが、登り応えではこちらの方が上であり、谷川を代表する悪渓の1つと言ってよいのではないかと思う。たな曰く、エビス大黒沢よりも悪いかもしれないとのこと(※下記補足あり)。
玄人向けの沢だが、一癖あるような滝を頑張って登っていくようなのが好きな方には、かなりお薦めの1本である。
・感想(たな)
谷川の沢の王道とも言えるような真っ白花崗岩の大スラブは無いが、V字谷の中に個性的な滝が連発、トリッキーな登りを要求される燻銀だった。
短いながらも内容が濃く、人臭くない谷川を楽しみたい方に大変お薦め。
振り向くと遥か清水峠は紅葉真っ盛り。前を向くと悪渓が口を開けて待っている。
短くて濃い系という点でエビス大黒沢と似ているが、悪いながらもなんやかんやほぼ全滝楽しんで登れるエビスと比較し、こちらは派手な登攀は無いがいちいち一癖ある印象だった(登攀強度自体はエビスの方が高い)。
朝方の雨で出発が遅れどうなるかと思ったが、下降のシンセン沢が想像より快適で助かった。
装備・コースタイム
7:23 出発 – 7:30 巌剛新道登山口 – 7:48 一ノ倉沢出合 7:50 – 8:08 一ノ倉沢一ノ沢出合 8:14 – 14:07 シンセンのコル 14:22 – 15:49 巌剛新道登山口 15:50 – 16:05 谷川岳登山指導センター – 16:09 蛇門の滝 – 16:14 帰着
(合計8:51/距離7.1km、登り752m、下り853m)
・ラバーソール適、要たわし。
・ロープは45m持参したが30mでも十分。
遡行図

下山メシ&周辺施設
○温泉センター 諏訪ノ湯
300円で必要十分な設備が全て揃っているうえ良いお湯の温泉。コスパ最強。2026年現在、残念ながら臨時休業中だ。いつか再開を願う。
○みなかみホルモン亭
諏訪ノ湯で温まった後は、鷹ノ巣C沢を遡行してきたポムチムたちと合流し焼き肉パーティー。
今回も良い一日だった!

他の記録
○一ノ倉沢一ノ沢
1934年7月に無雪期初登されて以来、よく登られていたと思われるが、近年の記録は少なく、WEB上にあるのは2件だけである。
・初登:1934年7月 東京登歩渓流会 杉本光作
現代登山全集 第7巻(谷川岳)(1960)で言及されているが、記録の有無は不明
・初登翌年の記録:1935年10月 東京登歩渓流会 町田亀太郎&内田博
現代登山全集 第7巻(谷川岳)(1960)に収載(※同書の改訂版には不掲載)
・WEB記録?:2001年10月 深谷山岳会 岡田ほか3名 途中から全て高巻き
https://www.big.or.jp/~arimochi/kiroku.01.10.25.03.html
・WEB記録?:2013年10月 三浦大介ほか1名
http://skialpinist.blog92.fc2.com/blog-entry-161.html
〇本件ヤマレコはこちら
1994年生。ぶなの会所属。大学に入ったタイミングで沢登りを始め、沢登り歴13年、訪れた沢は約1000本。沢を登るだけでなく下りも交え、一層その流域への理解を深めたいと考えている。最近は、情報の乏しい隠れた秀渓を探すのにハマっている。






















