妙高|白田切川遡行

記録
独自の5大要素(体力・登攀・悪さ・藪漕ぎ・水量)を1〜6段階で数値化した沢の個性化パラメータです。従来のグレード(難易度)とは異なります。
・定義や意図は「源流徘徊」を参照。
・従来の一般的なグレードについては、たもしまが付けているものを採用しています。
★10段階で評価。個人の好みや思い出要素も含みます。
- 白田切川:5級
脆い凝灰岩の沢で、深く抉られたゴルジュがあり、特異な景観をもつ。第一白滝、第二白滝を始めとして見応えのある滝も多い一方で、登れる小滝も多く、遡行価値が高い。脆い岩のため巻くのが難しい箇所もあり、日帰り沢としては日本屈指の難度がある。上流の温泉により水は常に白く濁っており、随所で硫化水素臭がする。水は酸性で酸っぱく、金属製のギアは錆びやすい。
前日の大倉谷遡行・惣滝下降のために妙高まで行くことになったが、せっかく遠出するので、周辺の他の沢にも行ってみたい。地図と空中写真を見ていて気になったのがこの白田切川で、遡行記録はないが、立派な滝とゴルジュがありそうだ。他の候補と共に鈴木助さんに提案したところ、この白田切川が一番良さそうということで、遡行を計画した。

1台を湯の平温泉スキー場側に置いておき、白田切川の左岸の道路にもう1台で移動。堰堤を巻いてから入渓しようと思ったが、工事用道路跡が見つからず、早々に入渓。

いきなり4連発の堰堤をすべて右から巻いていくが、それほど巻きが面倒なものは無くて良かった。

ちょっとしたゴルジュが出てくるが、すぐに終わって河原になる。

またゴルジュになる。序盤の8mは右からバランシーに登る。

次の10m滝はシャワーを浴びて直登。

その先の17m滝は直登できそうにない。左のぼろい壁にスタンスを刻みながら巻く。


tamoshimaには絶望的に見えたが、助さんは登れるのではないかと言い、突っ込んだ。

激シャワーに苦労して下部を越え、水流の裏を登っていったが、この辺りでぼろい垂壁が出てきたとのことで、ハーケンを残置して撤退。


仕方ないので右岸から巻くことにするが、この巻きも頗る悪い。たなリードで進む。

特に悪かったのがここ。甘い効きの下向きハーケンにアブミ使用。

その後、不安定な獣道をtamoshimaがロープを引いてトラバース。何とか登れなかった滝を巻き切った。

懸垂下降で沢に戻るが、ゴルジュは続いていて、行き詰まらないとも限らない。ロープは抜かずに偵察しに行く。

そこそこ登りにくい5m斜瀑を登り、

またしても登りにくい7m斜瀑も登り、

またまた登りにくい6m滝も登ると、無事ゴルジュは終了した。合図を送って懸垂下降ロープを抜き、先へ進む。


多少のゴーロを経てまたゴルジュが始まる。

この2段8m滝にtamoshimaが取り付いてみるが、登れないので、

助さんの頭に乗って頑張ったが、ハーケンの決まり具合が信用できず、次のハーケンを打つのも疲れたので、助さんに交代。

助さんがさらにハーケンを打ち込み、エイドの連続で何とか直登成功。後続はゴボウとユマールで突破。ハーケン一枚紛失。

この滝の終了点は、リスのないボロい岩に無理やり打ち込んだハーケン2枚。

苦労してさっきの滝を登ったのに、絶望的な滝が出現。幸いにも右壁が弱点で、そこから巻く。

ここでドローンを飛ばすと、白滝の下に、圧倒的なゴルジュがあるのが分かった。

ゴルジュを巻きながら見下ろすとこんな感じ。奈落の底のよう。

第一白滝は、その目の前に観瀑台のような平地があって面白い。

滝のすぐ下のゴルジュ:相変わらず抉れ方の凄いゴルジュだ。

観瀑台のような平地には美味しい「アカモノ」も生えていた。


1段目と2段目の間には行けたが、直登はかなり困難そうだ・・・ 時間も押しているので右から巻く。


巻き終えた滝上からは、市街地までよく見える。


ナメの先に、また堰堤が。左から巻く。


またまた堰堤。この堰堤は巻きづらく、助さんがリーチを活かして左から登り、残り2人はユマール。

またしてもゴルジュ。この滝はサクッと登れたが、

登れない22m滝が出現。左のルンゼから巻こうとするが、

最後はボロ壁を際どいクライミングで越える羽目になった。ここは大きく巻くのが無難。

ナメ小滝の連続と紅葉、青空が美しい。しかし奥にはまだ大きい滝がある。


直登の可能性も探ったが、かなり厳しそうなうえ、時間も押しているので左から巻く。結構薮のきつい巻きだった。

巻き終えて下を見れば、連瀑と紅葉が美しい。

この3m滝、頑張れば登れそうだが、もう夕闇が迫っているので左から巻く。

最後まで、綺麗なナメ滝が続く沢だ。

と思っていたら、登れない6m滝も出てきた。左から巻く。

そして林道に出て遡行終了! 最後はスキー場を長々下り、デポしておいた車へ帰着。
・感想(たもしま)
想像を、はるかに超えてくる沢だった。こんなにも凄いゴルジュが、未知のまま眠っていたとは。
それだけではない。見応えのある大滝、登り応えのある多くの小滝、テクニカルな巻き、防災への執念を感じさせる堰堤群、癒しのナメ滝、鉄分で妖しく光る岩など、見所だらけである。偶然にも妙高に行くことになり、このメンバーでこの沢を開拓できたことは、本当に素晴らしい巡り合わせだった。
日本を代表するボロ系ゴルジュであり、腕に覚えのある沢屋にお薦めの一本である。
・感想(たな)
記録未見の渓谷調査。紅葉のゴルジュバトル。
強烈な渓相と沢ジオの世界が素晴らしかった。
典型的な火山系ゴルジュをより一層厳つくしたような谷で、各々あらゆる戦略(1/4くらいしか効いてなさそうなアブミ、ショルダーと見せかけたヘッド、使い捨てのボロスタンス等)をフル動員して何とか予定通りの行程を完遂!マジやりきった!
泥の側壁は凝結甘過ぎて、リスでも何でもない所にハーケン刺さって笑った。沢水は目に入ると痛いくらいの酸性水。おまけに下山時は熊らしい黒い影がダッシュした。
日帰りでここまで濃い沢はなかなか出来ないだろう。
装備・コースタイム
6:16 出発 – 14:36 第一白滝 15:01 – 16:16 第二白滝 16:36 – 17:07 遡行終了 – 18:35 帰着
(合計12:19)
・ソールはラバー適
・ロープは45m1本で丁度良かった
・酸性水により金属製品が錆びやすいので要注意
遡行図

地名
・白田切川は、「しろたぎりがわ」とも「しらたぎりがわ」とも読む。例えば、国道の橋は「しろたぎりばし」で、上信越道の橋は「しらたぎりがわばし」。「日本地名発音辞典 第1集 (関東甲信越編)」(1959)では「しらたぎりがわ」で、「角川日本地名大辞典 15 (新潟県)」(1989)では「しろたぎりがわ」。
・第二白滝は、1980年に妙高団体研究グループにより命名されたもの。
文献:新潟大学教育学部高田分校研究紀要 24号(1980)
下山メシ&周辺施設
○やまぎし
お好み焼き、焼き鳥、おでんに炒め物と何でもあって素晴らしい。あさりの酒蒸しが感動的に美味い。たもしまのマヨネーズ盛りセンスが壊滅的である。


○市営 妙高高原ふれあい会館(日帰り天然温泉)
朝8時半からオープンしており、450円で入浴できるお湯良し設備良しの温泉。さらに、地元地誌に関わる資料が閲覧可能。こういった市営の施設は地域研究の穴場スポットだ。

○戸隠名物 手打そば たんぼ
妙高、戸隠といったら蕎麦だ。タスクおすすめのお店とのことで行ってみた。麺だけ食べても風味豊か、ホンモノの味がした。

他の記録
記録未見
〇本件ヤマレコはこちら
○同行のタスクさんの記事(※プロローグが面白すぎる)
https://kesshosha.com/sawanobori_shirotagirigawa/
1994年生。ぶなの会所属。大学に入ったタイミングで沢登りを始め、沢登り歴13年、訪れた沢は約1000本。沢を登るだけでなく下りも交え、一層その流域への理解を深めたいと考えている。最近は、情報の乏しい隠れた秀渓を探すのにハマっている。


















































